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裸の王を望むは子供か

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酷い男だ。世界を足の裏におさめてしまうことを、言っているのじゃない。だいたいにしてどこへ行こうと磨り減らない不遜さも、どんな水を飲んだところで褪せない美しさも“酷い”と思わせるに十分で。それは出会った時から変わらぬもので、ああ、つまり。つまり。

雲雀恭弥が酷い男だなんて、今更言うこともないのだ。
なのに。ああ。
あんたは酷い、男だ。

沢田綱吉は椅子の上でよろけそうになる意識を自覚した。午後。跪く雲雀恭弥。跪く、雲雀恭弥!

それは沢田がこの世でみたくないもののひとつ。自分の足元に身を屈める彼を見ることなど、金輪際ごめんだった。服従のポーズなど雲雀がしてしまったら、何かが壊れる気がした。だけどもし、そんな日が来たら。その時はこの人が跪くのもおかしくないほどの王様になろうと、そう思っていた。

抱かせて、沢田。

なのに、あんたの口は、そんな台詞を吐きやがるのか。
身体が沸騰する。熱い。なのに求めるのは冷気ではなく、熱だ。目の前の雲雀恭弥でしか与えてもらえない熱を欲している。


歴史が違えど何も変えぬだろう男。40年たった今も、あんたは酷い、オレの男。
作品名:裸の王を望むは子供か 作家名:夕凪