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たばかるなフェアリーテール

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あるところに、貝殻の国がありました。とってもやさしい王様が治める国です。
けれど王様はひとりぼっちでした。
そこで家来たちは王様に世界で一番美しい王妃様を見つけてあげようと考えました。
「どうする?」
「だれがいい?」
そしてその中の一人が、声高く言いました。

「世界で一番美しい花を、王妃様にしよう!」

それは素晴らしい、とみんなうなずきました。家来たちはお城に世界中の花を集めて、王様を呼びました。
「こんなに美しい花は見たことがない。いったいどうしてここに」
「王様の王妃さまにいかがかと思いまして」


王様はまぶしそうに花をみつめ、キレイだとささやきます。どの花を選ぶのだろうと家来たちはドキドキです。
ところが、王様は言いました。

「ありがとう。だけど花は妃にはしない。花たちは、海の中では生きられない。お日様が恋しいと泣いてしまうだろう」

家来たちはおどろきました。

「では王様。宝石はいかがでしょう?世界で一番美しい宝石を王妃になさっては」

王様は言いました。

「宝石と貝の私ではたがいに傷つけあってしまう。そんなことはしたくない」

家来たちは次々に美しいものを持ってきては王妃様にしましょうと言いました。ですが、王様は首を横にふります。とうとう家来たちは美しいものを持ってこれなくなりました。とても困った顔をして王様を見るしかありません。

王様は家来たちをみわたし、しずかに言いました。


「私は、空を妃にしよう」

家来たちは息をのみ王様の言葉をじっと聞きます。


「空は海の中には来られない。けれど常に近くにある。私の体は固いが空を傷つけることはできない。何より空は、常に表情を変えて美しい」


それを聞き、家来たちは心から喜びました。


こうして貝殻の国の王様は、世界で一番美しい王妃様と、いつまでもいつまでも平和に暮らしたと言うことです。
















「それでめでたし、めでたし?」

鈴のような声で、オレがいうはずの台詞は読み上げられた。どんな話も美しく聴こえる声を持つ、あと5年もすればどんな男だって振りかえる少女が、オレを見つめる。

「その通りです。シニョリータ」
「今の、フェアリーテールが、私と婚約を結べない理由?」
「はい。オレは大空として、生きていきます。誰も選びはしません」
「そう、貝殻の王様はうそをおつきになりました」

少女は、いたずらっ子の目をして笑う。

「家来たちはだませても、私はだまされてなどあげません」

そしてひどく真摯に微笑む。

「さあ、誠意を持って礼儀正しく。私をおふりくださいませ、ドン」

彼女はきっと、世界で一番美しいに違いない。

「申し訳ありません。好きな人が、います」





でも、ごめんなさい。ごめんね、気持ち変わらないみたい。