きらきらひかる
ひょこんと出てきた少年の姿。
「うわ!」
突然のことに驚き、足を止めてこっちを見た少年に、先を走っていた男は声を上げると同時に少年に突進したがうまく身体を躱す。しかし躱し切れず、少年と一緒に地面へと転がる。
すぐさま追いついた静雄はその場で立ち止まると、地面に転がる二人を見て驚いた。
「……っ!?」
それは一緒に転がっている少年の姿。だがこの瞬間、少年はまだ気付いていない。しかしそれを打ち破るように、後ろから叫び声がする。
「静雄! 逃がすな!」
トムの声に我に返ると同時に身体が自然と追っていた男に馬乗りになって押さえていた。
「逃がさねぇよ……!」
静雄より一回り小さなその身体は簡単に押さえこまれ、やっと追いついたトムがすぐさま携帯で連絡を取った。
そんな中、少年がやっと身体を起こした。
「いったた……。な、何?」
言いながら顔を上げ、自分に起こった衝撃の在り処を探すと、その視線が一点で止まった。
それは知っているバーテン姿の男。
帝人は思わずその名を口にしていた。
「静雄……さん?」
帝人の声に、静雄が反応する。
押さえ込んでいる人物から視線を外して顔を上げれば、その先には驚いた顔の帝人がいる。
しかしそんな二人の視線をトムが遮った。
「おーい、静雄。社長と連絡取れたぞ。すぐこっちに車回すから押さえとけっていうから、もちっとそのままな」
「はい」
「……っと、大丈夫か?」
そう言ってトムは帝人に近づくと、手を差し出す。
だが顔を見た瞬間、見覚えのある顔に首を傾げた。
「あれ? もしかして静雄の知り合いじゃね?」
「こ、こんばんは……」
少し間抜けかも知れないと思いながら挨拶をした帝人の顔を、花火が一瞬だけ照らした。