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CQCQ

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 しかし、生活――金銭面に余裕が出来たというのは本当の話である。
 ある晩、公麿は真坂木と名乗る不思議な男の訪問をうけた。彼は自分がミダス銀行という公麿がかつて耳にしたこともない銀行の行員なのだと自らを紹介し、その銀行が存在する金融街へという場所へ公麿を誘ったのだ。真朱というアセットを得た公麿はディールに勝利し、そこから先はまるで夢のよう。
 夢ではない証に、公麿の通帳残高は日に日に増していき、そして黒い札が見えるようになった。そして、初めて見る黒い金に動揺した公麿を助けてくれたのは三國壮一郎という名の男だったのだ。
 彼はどうして親切にしてくれるのかといぶかる公麿に、自分と公麿の利害が一致した結果だとそっけない言葉を重ねただけだったけれど、こちらを見下ろす目はあくまでも静かに優しく、単純にいいな、と公麿は思ったのだ。
 初めて助けてもらったコンビニの出来事以降も三國は何かと公麿に有効な助言をしてくれた。気がつけば金融街でいちばんに探すのは三國の姿になっており、彼のディールに影響を受けて彼のような闘い方をしてみたいと思うようになったのは事実である。
 思えば公麿の二十年にも達していないこれまで生きてきた年数の中で、三國のような男と出会うのは初めてのことであった。
 もしかすると彼の兄のような父のような優しくも厳しい雰囲気に惹かれてしまったのは、公麿の生い立ちが関係していたのかもしれない。年上の男と接することなく生きてきた公麿は無意識に、父性を求めていたのかもしれなかったが、あまりそういう自覚もないままに、公麿の中の三國に対する「いいな」という気持ちは襞のように積み重なっていき、いつの間にか淡く色づくものになっていた。三國がトップに立つ椋鳥ギルドに参加したのも当然の流れと言えた。椋鳥ギルドに入ったことで、ディールによる膨大な資金を手にすることはなくなったが、それでも一介の大学生が生活していくうえで充分な資金を公麿は得ていた。携帯電話を購入し、月々の使用料金を払うことに何ら支障のない額である。
 しかしそれでもなかなか公麿は携帯電話の購入に踏み切ることが出来なかった。友人の手の中で弄られているそれしか見たことがない公麿には、買うにしてもどれを選べばいいのか分からない。どんな携帯電話を購入しようかと迷った時、いちばんに思い浮かんだのは三國の持っていたものだ。といっても三國はコンビニエンスストアから公麿のアパートまでの車内で、どうしてか携帯電話を取り出したことがなく、公麿が彼のそれを見たのはただ一度きりだ。
 言葉を交わすようになってすぐだったと思う。困ったことがあればなんでも言ってくるといい、と三國が差し出してきた携帯電話に公麿は首を横に振ることしか出来なかった。

作品名:CQCQ 作家名:ねこだ