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みっふー♪
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novelistID. 21864
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ワンルーム☆パラダイス

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「――、」
髪を垂らした先生の肩がくすりと揺れた。先生は力任せに強張っていた天パの指をそっと解いて手を取った。
「……わがまま言ってすみません、ピタパンサンドはありますか?」
「!」
思いつめた天パの顔色にたちまち天使の祝福の光が差した。
「あああありますありますっ!!」
――なんだー、やっぱりねー、俺もそーじゃないかと思ってたんすよぉー、今日の先生の気分的にバゲットサンドはねーなって!
俄然ハイテンションに浮かれまくる天パを前に、先生がもう一度おじさんを振り向いて頭を下げた。
「……。」
呆けたままおじさんも軽く会釈を返した。

+++

隣人宅の騒ぎが収まってしばらくした頃、――コンコン、今度は控えめにおじさんの部屋をノックする音がした。
「……はぁい、」
おじさんが出て行くと、白い晒しを掛けた皿を持った先生が立っていた。
「さっきはすみませんでした。……それとこれ、やっぱり作り過ぎだったんで」
先生が皿の覆いを取った。下にはぎっしり、色とりどりのサンドウィッチが並んでいる。
「――いっ、いーんですかっ?」
嬉々と受け取ろうとして、しかしおじさんは出しかけていた手を慌てて引っ込めた。
「わ、私なんかに差し入れして怒られませんか?」
おじさんは辺りを見回し、怯えたように首を竦めて小声で訊ねた。
「大丈夫です、」
――ちゃんと確認は取ってあります、にっこり笑って先生が言った、「あの子いま、上機嫌で洗い物してますから」
「そうですか……?」
……じゃっ、じゃあ遠慮なく、恐縮しつつもおじさんは皿を受け取った。先生は軽く頭を下げると、おじさんのもひとつ奥の、大家がやってるすなつくの従業員寮になっている部屋にもお裾分けを持って行った。
「……。」
おじさんはドアを閉めがてら、皿の上のタマゴサンドをひとつ摘んだ。――うんウマイ、けどもーちょっと、酒のアテ的にはフィリングの配合に改善の余地ありだな、などとしみじみ思うのであった。


+++