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みっふー♪
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novelistID. 21864
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ワンルーム☆パラダイス

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「……せっかく大家さんにもらったみかんなのに、部屋のどこに追いたか、探しても見つからない、見つからないと食べられない、俺が食べられないということはつまりみかんは俺に食べてもらえないということだ、誰にも見つけてもらえないまま、やがてみかんは腐ってしまう、そんなのヒドい、あんまりだ、みかんがかわいそうだ、だから俺にみかんがみっかんないと嘆いている暇はない、是が非でもひとりかくれんぼ中の哀れなみかんをみっけてやんなければならないのだっ!」
――ダン! 高揚に任せてロンゲがこたつをぶった。
『C+!』
着ぐるみが札を掲げた。
「ええーーーっっ!」
ロンゲはあからさまに落胆の表情を見せた。――おいおいまたかよ、今日はずいぶん辛口だなエリー、しかしどんなに思うところがあっても、判定に口出しは厳禁である。
気ぐるみの二順目、彼が選んできたのは、
『このゆずだけはゆずれないっ』
「……。」
――ほぅ、みかんにカブせてきたな、ならばお手並み拝見といこう、ロンゲは心に不敵に笑んだ。掲げたプラカードに、着ぐるみは淡々と物語を紡いだ。
『……譲り合いの多い人生でした。いえ、むしろ私はいつも譲ってばかりでした。お年寄りにバス座席を、割り込みオバちゃんに行列キリ番を、アリーナ席をスタンド席(※場所によってはアリーナより良席の場合もアリーナ)と交換に、……何ならとどめに親友に恋人までをも譲ったのです、それでも私は幸せだった、私が譲ることで世界に笑顔の花がひとつでも多く咲くのなら、かなしみという名の雨が和らぐのなら、私は自分がびしょぬれのへろへろ着ぐるみに成り果てようとも後悔はなかった、そんな私が言うのです、閉店間際のスーパーで一期一会の貴方と残りひとつの柚子に手をかけ言うのです、――このゆずだけはゆずれないっ! なぜなら私は今晩とてもゆずみそでんがくの気分だから! それ以外の味覚はおよそ脳が欲さない、断固受け付けようとしないから!』
「B+!」
即座に判定札を掲げてロンゲが言った、――本当はAでもいいくらいさ、ロンゲは目尻に滲んだ涙を袂に拭った。
「展開はごーいんだったけど、最後のオチが良かったよ!」
借り物でない実感と開き直ったごーいんぐの勝利だな、というのがロンゲの評価だった。みかんにカブせてきやがって、なんて一瞬でも思った自分の小ささが恥ずかしい、とも着ぐるみに詫びて彼は言った。
……で、てなカンジのやりとりがえんえんあと10パターンくらい続いたあと、6勝4敗2分で今日の勝負は着ぐるみが勝ちましたとさ。おわり。


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