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【ヘタリア腐】伝えるべき言葉を俺は知らない

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「もう、お前なんて知らん!……いや、言いすぎた。ちょっと頭冷やしてくる」
勢いよくスペインがそう言って部屋から出ると、呆気にとられて目を見開いたままのイギリスが一人と出来たての料理が部屋に取り残された。



こう長く生きてる中ではくだらない事で喧嘩をした。人間にとってはとても大切な事かもしれないが、俺らにとっては正直言ってどうだっていい。

ここら辺の感覚で自分は『ああ、人ではないのだ』という事実をつきつけられて、体の真ん中の奥深くが空洞になって、その空間に飲み込まれてしまいそうになる。体そのものがブラックホールだ。
国にとっての一番の敵は自身である、というのが俺の持論で、どの奴も周りに国と言う責任と誇りと寂しさを付きまとわせているように感じて生かされている。

少し冷静になろうと事実を振り返っていたらついつい余計な事を考えてしまっていた。
ハッとして時計を見るとスペインが部屋を出てから2時間近くが経っている。まだ帰って来ていない。まあまだ外に居るくらいなのかなあと思っていると、耳に強い雨脚の音が聞こえる。考え込みすぎていたらしく音が聞こえなかった。
一人ぼっちの空間でザーザー降りの音が部屋に響くとどうも一抹の寂しさを覚える。耐えられなくなってテレビをつけると丁度ニュースがやっていた。
『現在××地区では一時間ほど前から降り出している記録的な豪雨により……』

「一時間前から」
呟く言葉がすうっと壁に消えてゆく。とても意味は重いのに。

「アイツが出てったのは8時過ぎで、それから2時間経った。もう開いてる店はないし、コンビニなんて1時間以上居座るもんじゃ……」
「あんっの馬鹿」

形振り構わず外に飛び出した。最初は傘を差して走っていたがこの雨の中では意味が無い。
走りづらいだけなので傘を閉じると、一気に体に刺さるような雨が降りかかって来た。痛い、こんなに痛いのは久しぶりだ。

ここら近所で行くところと言ったらたかが知れている。多分、小さなブランコだけがポツンと置いてある公園だろう。
走る、走る走る走る 
思わずその場にあった革靴に足をつっ込んできたので何度も足を取られる。今日は外での仕事があったのでスーツ姿、とても動きにくい。すべてが水を吸い、身に纏っているものが行く手を阻む鎧に感じられる。
びっちゃびっちゃと鳴る足音をも消しさる轟音の中を俺は走った。

予想通りスペインはブランコに乗り、体を揺らしている。遊具にそぐわない体躯を小さく丸めて。
ぎーこ、ぎーこという悲しげな音が微かに耳に届いた。

「なあスペイン、帰ろう。此処に居たら風邪ひくだけだ」

「何でここに来たん。お前、俺の事別にどうだってええんちゃうの」

「スペイン、帰るぞ」

「別に来んでよかったんに」

「俺の行動も、心情も全てお前は否定する気かよ」

スペインの鎖を掴んでいる手を無理矢理引っぺがして地面に立たせる。

「帰るぞ」

有無を言わさず、腕を掴んだまま家への方向へ歩いていく。お互い濡れて、冷たくなっている手は何も感じられず、ただそこには物理的な、精神的な膜があるように思われるだけだった。


家の中に少し入っただけで、暖かいと感じる。
先に風呂に入れといまだ無表情なスペインを風呂場へ押し込む。玄関先でシャツを脱ぎ、絞ってみると小さな雨が出来る。少し水滴が顔にはねた。

どうぞ、とぶっきらぼうな返事とともにギギッとドアが開く。シャワーを浴びて体がホカホカとなり出てきたら、リビングにはご丁寧にテーブルに並べてあった料理の品々を温めて出したものがまた元の通りに並んでいた。

フォークやナイフが皿に当たってたてる音と食べ物を租借する音だけがここにある。
アイツが作ってくれたものだから美味しいはずなのだが、とても無機質だ。
もちろん俺が後からシャワーを浴びたのでスペインは先に席を立つ。心苦しかったのから少し解放され、口の中に料理をかっ込む。長い間雨に打たれて疲れたのだ、さっさと平らげて皿も下げ、ベットに潜り込んだ。

スペインとは同じ部屋で毎日寝ているが、シングルベットが間隔を開けて並んでいるだけである。彼は既に先に寝ているらしく、優しい寝息が聞こえたので安心してしまった。

それから少し時間が経っただろうか、ベットが軋む音で目が覚めた。寝ぼけて開かない瞼を叱咤し、薄ぼんやりした目で見るとスペインが俺に馬乗りになっている。

「な…に」

問いかけてもただ顔を俯けたままでなにも返事が返って来ない。

「どうかしたか」

先ほどまで喧嘩後、ましてや解決などついていないままギスギスしていたのにどうかしたかと言うのも変なものだが、今のコイツはちょっと変だ。

返事の代わりにつうっと指で首筋をなぞられる、指の腹で顎から胸まで。

「なあ、俺のことどう思ってるん」

ゆっくりと手を首にまわして喉仏に手をかけられた。決して強い力ではない、むしろとても軽い力なのだが急所を掴まれているこの感覚はとても圧迫される。

「なあ、どうなん。もう分からんっ…よ」

それと同時に手に込められる力も強くなってゆく。頬にはぽたぽたと生温かいものが落ちてきた。

「ごめん、ごめん」

俺はお前の事が好きだよ、そう相手に聞こえたは分からない。徐々に意識を手放して真っ暗になってゆく視界をよそにそう呟いた。