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恋も二度目なら

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-某コロニー、サーカス団のトレーラーにて-

「よぉトロワ、お疲れさん」
「デュオ。来ていたのか」
「様子見ついでにな。しっかしおまえのピエロ姿板についてきたよなあ。外で女の子が『あのピエロよく見るとカッコいい』って騒いでたぜ。けどよー、せめてもちょっと笑ったらいいんじゃないの? 曲がりなりにも道化師なんだからさ」
「一応仮面では笑っている」
「……仮面って半分だけだろ。もう半分が真顔って結構シュールだぜ。あ、オレコーヒーな。ブラックで」
「そこまで観客には判らない。実際苦情がきたのも今が初めてだ」
「へぇへぇ悪うございましたね。別に苦情のつもりじゃありませんよ」
「判っている。(カップを差し出す)……ところでデュオ、ヒイロとはどこまでいった?」
「へ?」
「何かあったからここへ来たのではないのか。そろそろ痺れを切らす頃だと思ったんだが」
「……何の話?(コーヒーに口をつける)」
「キスくらいはしたのか?」
「!!!!!!(咽る)がはっ、ごっ……は?! キス?! な、何の話だよ?!」
「違うのか。どうやらその様子では告白にすら至ってはいないようだな」
「……え?(冷や汗)」
「思い当たることでもあるのか」
「……。ない」
「嘘だな」
「いや、本当に……ってトロワ、何でおまえがそんなこと知ってんだよ?!」
「割と頻繁に相談にのっていたからな」
「誰の」
「ヒイロに決まっているだろう」
「……。オレ、それ詳しく聞かない方がいい?」
「オレが言わなくともいずれヒイロが何かしらアクションを起こすだろう。そろそろ焦りが見え始めてきたようだから」
「あ、焦り?」
「ここ何回かは会うたびに鬱憤を晴らされるようなものだった。まあ気持ちは判らなくもない。あいつもあれで健康な男の身体機能を持つ青少年だ」
「……」
「どうやら思い当たる節がありそうだな」
「いやあのな? オレ、こないだ五飛に怒られたんだよ……」
「五飛に?」
「『全く貴様らは毎回毎回毎回鬱陶しくてたまらん! とっととケリをつけろ! それともオレを馬に蹴り殺させる気か!』って……」
「あいつらしいな」
「全然意味が判らなかったんだけど。どういう意味……だった、と、思……」
「同じ相談をしていたということじゃないのか。ヒイロが、五飛に」
「うわああ聞かなきゃよかった!!」
「追い討ちをかけるようだが、カトルも知っているぞ。先日連絡をとった時には『ヒイロの様子はどうです? 彼も最近大変みたいだね。そろそろハッパかけてみようかな』なんて目をキラキラさせて言っていた」
「全然知らねえそんな話!! もしかしてオレ狙われてる? むしろもう包囲されてる?」
「戦略としてはありだろう」
「何作戦だよ!」
「正直、ヒイロがそんな回りくどい方法をとるのは意外だったな。正攻法でいくと思っていたんだが……いけると判断できるまで待つつもりだったんだろう。余程確実に仕留めたいらしいな」
「オレはあいつのターゲットか!!」
「それだけ逃したくない獲物だと言う事だ。……恋も二度目なら慎重にもなる」
「えも……? 恋……?」
「だが、そろそろ時間切れだな。おそらく近く強行突破に出るだろう。覚悟しておけ」
「……忠告ありがとうよ……いや何の覚悟を……?」
「今のヒイロはおそろしく長い時間を掛けてエネルギーを蓄積したビーム砲のようなものだ。それが一気に解放されるのだから、何があっても途中で止めてはもらえないと思った方がいい」
「……!!」
「当然主導権も握らせてくれないだろう。おまえには不本意だろうが、死にたくなければ上になろうなどとは考えないことだ」
「何のことか想像したくねえ!!」
「健闘を祈る。……ああそれから、身を隠しても無駄だとだけは言っておこう」
「へ、な、何で」
「一応オレたちは包囲網だからな(笑顔)」
「…………!!!!」





-数十分後-

「……帰るわ……」
「そうか。気をつけろよ」
「気をつけろって、今のオレに安息の地はどこにもねえよ……なあトロワ」
「なんだ」
「ヒイロの一度目の恋ってやっぱり、リリーナお嬢さんかな?」
「そうだろうな。……ああそういえば」
「?」
「彼女にも話が行っているかもしれないぞ。包囲網を敷くとはいっても、あいつ友達少ないからな」






+++++


-通信中-

『お待ちしてましたのよ。遅かったですのね』
「……よぉお嬢さん本日もご機嫌麗しく(棒読み)……お仕事はもういいのかい」
『ええ。……随分憔悴していらっしゃるのね?』
「うん、まあね」
『お疲れの所すみませんけれど、早速本題に移らせていただきますわ。貴方ヒイロと早くくっついちゃいなさい』
「ほらきた!!!」
『見ていて苛々するんですもの。これ以上ヒイロが追い詰められて、役に立たない護衛にでもなったら困ります。貴方も満更ではないのでしょう?』
「それにオレは何て答えりゃいいんだ。大体あんたヒイロのこと好きだったんじゃ」
『ええ。大好きですわ。今も』
「だったらどうして」
『好きなひとに幸せになってもらいたいと願うのは、あたりまえのことでしょう』
「── 」
『私の初恋のひとよ? 不幸になんかしたら許しませんから』
「あ……オレは……」
『そんなに悩まなくてもご心配には及びません。ヒイロをずいぶん焚きつけておきましたから、もうそろそろそちらに着く頃だと思います』
「なにぃ?!」
『もう子供ではないのですから、いつまでも駄々を捏ねずに覚悟をお決めになったら?』
「いや、その、この場合決める覚悟がいろいろありすぎて……ね」
『大丈夫。ヒイロは優しいひとです』
「知ってるよ……」
『なら何の問題もありませんわ。……私、そろそろ切りますね。馬に蹴られて死ぬるは恥、ですから』
「……。お嬢さん、五飛とも話したの?」
『ふふふ、さあどうかしら。とにかく頑張って』
「……サンキュー。善処するさ」
『大丈夫、きっと素敵な時間が過ごせます。だって』

 ── ピンポーン、




『恋も二度目ですもの』
作品名:恋も二度目なら 作家名:にこ