気づいておくれ
緑がたくさんあるココは、俺のお気に入りの場所。
子供がはしゃいで、親が笑って、動物たちが駆けまわって。
賑やかで好きだ。
自由な場所。
ある程度のマナーは、必要だけど。
陽光に照らされたセントラルパークの芝生に寝転がる。
あぁ、いい天気。
アルフレッドは、目を細めた。
「…明日は、世界会議か…嫌だなぁ」
アルフレッドがため息を吐く。
近頃、気が付いた。
イギリスは世界会議中、スペインとフランスに絡む。
まぁ、悪いことではない。
でもモヤモヤする。
理由は簡単。
俺がイギリスに片想いしているからだ。
あんな、眉毛に。
「はぁ……最悪だ」
「何がだ?」
「イギリスに会うことがだよ…」
「ほぉぉ?…テメェ、口にマシンガンを、ぶち込まれてぇのか?!!」
「えっ!!?」
そこにいるのは、仁王立ちのイギリス。
俺が片想いしている男。
顔は、凶悪に笑っている。
「何しているんだい?」
「…呼ばれた、フェアリーたちに」
「はい?」
イギリスが真顔で言うので、疑問符が頭を飛び交う。
君の頭は、ここでもメルヘンだね。
アルフレッドがその言葉を飲み込む。
今、それを言えば大音量の罵声が自分に降りかかってくる。
それだけは、いやだ。
周りに迷惑はかけたくない。
それに、意外とイギリスの罵声は、アルフレッドには堪える。
好きな人からの罵り文句を今でも、引きずっている部分があるのだ。
「…妖精に?どんな?」
「関係ないだろうが!」
「まぁ、ね…」
イギリスがアルフレッドに問う。
「おい、ジョーンズ」
「いい加減、名前で呼んでよ…」
アルフレッドは、苦笑する。
アルフレッドが独立してから今まで、イギリスはアルフレッドでなくジョーンズと呼ぶ。
それは、つまり完全にイギリスから…。
いや、アーサー・カークランドから見放されたという事。
「お前、明日はホスト国だろう?」
自分の不満などさらりと無視される。
アルフレッドは、口を尖らせた。
「そうだよ、大英帝国様」
「喧嘩なら買うぞ?」
「うぁ~、恐いなぁ」
「棒読みじゃ、何も興奮しねぇな~」
「変態」
最後の台詞は、イギリスに気付かれないように呟いた。
イギリスが空を見上げる。
「…もうすぐ雨、降るな…」
「だね…空の女神様が泣いてるのかな~?」
アルフレッドは、イギリスから逃げるように歩いて行く。
「珍しく、ロマンチストだな」
「気づいてくれよ!!!」
(君の好きな言葉を選んだのにさ!!!)
END