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科学者の性

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対象の反応具合を楽しんでしまうのは科学者の性だ。
いたずらっ子は生まれながらに科学者の才能を持っているとは研究室の教授の弁だが、なかなか当たってる。
トイレに行って、ついでにシャワーも浴びた僕は今、同居人のベッド、正確には、ベッドに転がる同居人を見つめている。
僕の同居人、高機能社会不適合者であるところのシャーロック・ホームズは白いシーツに包まったまま、動かない。


シャーロックの兄、マイクロフトにクラリネットの趣味を当てられた夜、シャーロックは僕を抱いた。
抱いた、と言うのは正確ではない。シャーロックは僕を抱きしめて、そのまま眠ってしまったから。
シャツを脱がしてベッドに押し付け、僕にたくさんのキスをしたシャーロックは、一瞬だけ、とても不安そうな顔をした。
怒られる前の子供みたいだった。
行かないで、と言っているのが分かって、僕が少し頷くと、シャーロックは僕をきつく抱きしめ、それから彼は動かなかった。
少し眠って、シャーロックの腕をようやくこじ開けられたのは、空が少し白み始めた時だった。


ぼすん

ベッドに勢いをつけて座る。
シャーロックはひざを抱えて転がっているから、反動で少しだけ肩が動く。
ひざを抱えているのは、彼がすねているサインだ。
僕は昨夜の事に顔を覆う。
同時になんだか笑ってしまう。
彼になんと言おうか、何も言わまいか。
服を脱げと言われ、キスをされ、くちびるの裏には血が出るほどの噛み跡を残された。
抱え上げられて部屋まで連れ込まれ、ベッドに押さえつけられてそれからそれから・・・
くちびるの裏は相変わらずひりひりしていて現実に引き戻される。
手で覆った目の端には、ずっと白が写っている。


僕は今、ひと組のカードを持っている。
シャーロックの反応が楽しみなカード。
使えるのは、後にも先にも一度きり。
彼の思考が働くまでが勝負だ。
僕は首だけ横にしてシャーロックを見る。
彼は多分、目を開けている。



「愛しているよ、シャーロック、」
僕の声に、シャーロックはびくっと背中を震わせた。
体ごと振り向いた顔は少しだけ口が開いていて、感情と表情はまだうまくシンクロしていない。
「君の兄さんが、そう伝えておいてくれって。」
放心した表情が当惑からイライラに変わるのに、そう時間はかからなかった。
シャーロックはしかめ面をして鼻を鳴らすと、
シーツを頭からフードのようにかぶったまま、同じくバスタオルを頭からかぶる僕を抱きしめた。
「マイクロフトあいつ、余計な事を。」
頬越しに彼の低音が響く。
シャーロックはしばらく僕の頬に自分のを寄せて何か呟いていたが、
一度低く唸ると僕を抱えたままベッドにダイブした。


対象の反応具合を、それによって自分がどうなろうとも、楽しんでしまうのは科学者の性だ。
僕を抱きしめながらごろごろするシャーロックは相変わらずぶつぶつ呟いたり、いやそれではだめだと頭を振る。
きっと、彼の兄に何と言って返そうか考えているに違いない。
独り言では足りないのか、今度は僕の顔にべたべた触れてくる。
彼の肌の色は白いから、腕のそばかすが赤く目立つ。
二の腕に噛み付いても全く反応しないので、僕はもう一枚のカードを切ってみた。


「で、同じように伝えるかい?」
「だめだ。」
作品名:科学者の性 作家名:末永