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ガラス玉

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 私には秘密の宝箱がある。宝箱といっても銀色をした掌サイズの小さなアルミ缶。大切な宝物達を隠す箱。いつもは私の部屋にそっと隠してあるのだけど、たまにこっそりと持ち出して中を確認する。宝物達と言っても、まだその中に入ることを許されているのは一つだけ。

 それは掌にある時は透明で。でも、太陽に翳すと不思議な色の波がゆらゆらと揺れて、どんな色でも見て取れる。青に赤に黄に緑に紫にオレンジにピンク。淡い色合いだから良く見ないとわからない変化だけど。シャボン玉をギュッと塊にしたに違いない。キレイなガラス玉。

 このガラス玉はビー玉と言うらしい。随分前に銀ちゃんがお土産だと言ってくれた。銀ちゃんから酢昆布以外を貰うなんてとても珍しい。あれが初めてだったかもしれない。
 お土産と言ってポイと投げた物を両手で受け止めると、手にちょんとこのガラス玉が乗っかっていた。これは何と聞くと銀ちゃんはビー玉だと言った。ビー玉知らないのかと言うので、ウンと頷くとオモチャだと教えてくれた。ビー玉同士をぶつけて遊ぶのだと言う。こんなにキレイなのに、ぶつけて遊ぶなんて贅沢だ。私には出来ないし、一個では遊べない。一個だけということは、銀ちゃんも遊ぶ為にくれたのではないだろう。


 青い空にいる太陽に向かって手を伸ばす。できるだけ光に近づけるように。親指と人差し指で摘んだビー玉がキラリと光る。ビー玉を持った手を顔近づけて、片目を閉じる。そして、腕を伸ばしまた遠ざける。近づけたり遠ざけたり、片目を瞑ってみたり両目で眺めてみたり。
 天気の良い時に屋根に登ってアルミ缶からビー玉を取り出し、眺めて過ごす。銀ちゃんも新八も知らない私の秘密の遊び。銀ちゃんなんて、私にコレをくれたことすら覚えてないに違いない。

 このガラス玉と一緒に宝箱へ入り宝物と呼ぶことが出来る、次のモノは何だろう。きっとそれも銀ちゃんがくれるに違いない。ガラス玉を箱に戻すとカランと音がした。





2005.5.28
作品名:ガラス玉 作家名:高梨チナ