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朝霧 玖美
朝霧 玖美
novelistID. 29631
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「Eye On Me ~ラグナ~」

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今日もまた来てしまった。
彼女が出ているステージは外せないんだ。
ウォードもキロスもからかうけれど、どうしても足が向いてしまうんだ。
お酒は弱いくせにとか言われるけれど、飲めないお酒だって飲んでやるさ。
手を伸ばせば届くところにいるのに、そばに行けない。
ただ曲のリクエストをしに行く時は平気なんだがなぁ。
声をかけようと思うと、緊張して足がつってしまう。

「いてて・・・・!」なんてやっているのを見られて笑われてしまったよなぁ。
あぁ~。女性に格好いいことを言うのはキロスにおまかせだよな。
俺はおちゃらけが専門だよ。どうせ俺はこういうキャらさ。
でも彼女には違うんだ。おちゃらけだってなんだって近くにいけたらいいんだ。
辛い任務だって、終わってこのバーに来るのを支えに頑張ってくるんだから。


何か気のせいかもしれないけれど、彼女も時々俺を見ているような気がする。
気のせいだよな。なんてったて彼女はこのホテルの売れっ子歌手だもんな。
こんな俺に気があるわけないよなぁ。
でも視線を感じるんだ。そして目が合うとはっとしてそらす。そんな感じなんだ。
ちくしょー。確かめてぇ。
でもあのわずかな段差が俺と彼女を違う人種だって言っているみたいなんだ。
たしかに軍に言われるままあちらの任務こちらの任務と薄汚れて仕事をしているのとは違うさ。
でも一つのことを愛しているのには変わらないだろう?
彼女は歌を。そして俺は彼女が安心して歌える国の平和を守ることを。


彼女の瞳にあるものはなんだろう。
俺が思うものと同じもの?何となくそんな気がする。
今日で彼女がこのステージを降りる?どうして?
えっ?俺と話がしたいから部屋を取ってあるから来いって!?
ホテルの支配人が俺を呼んだんだ。
連れられて部屋に行ったけれど俺は酒が入っていてほろ酔い加減だったのさ。
結局、ジュリアと話したって言うより俺が一人でべらべらしゃべっちまって
そのままいい気持ちで眠ってしまったと言うことなんだ。
せっかくのチャンスをものに出来ない俺っていったい・・・・。

しばらくして目が覚めた。
あぁ、またやっちゃったよ。酔いが回って寝ちまった。
なんだ?胸のポケットに入っているのは!?
これは、彼女の電話番号だ。
ってことは……??
・・・・・!
ヤッホ~!!


++++++++++++++++++++++++++++


今回の任務もキロスとウォードと俺の3人組。
最近、気のせいかきつい任務が回されてくるようなんだよなぁ。
セントラ遺跡の単独偵察だなんていって、今はエスタ軍と鬼ごっこさ。
もうヒイヒイだぜ。あれかな、ジュリアと仲良くなっちまったからか?
といっても電話で何回か話しただけだけど。
速いところ逃げきってガルバディアに戻ろうぜ。
そしてジュリアとデートだ!!!
・・・・ってなんか俺達追いつめられて絶体絶命って感じ?
キロスもウォードも瀕死だし、しっかりしろよ~。
妖精さんに笑われるぞ。そんなやつはピヨピヨグチの刑だ~!
なんて冗談を言っている場合じゃない。
もうこの崖の下は海。もう妖精さんに頼んで祈るほか無い。
じゃぁ、ほら!飛び込め!!
ジュリアー、待ってろよ~~!!


+++++++++++++++++++++++++++++



今日もラジオから聞こえる、ジュリアの声。
歌っている、俺達がいたバーのことだ。
あの頃は楽しかったよなぁ。
キロスもウォードも一緒でさ。
バカやってたけどな。
あのときめき、心のバクバク………。
青春だったなぁ。

俺たちの時。

『Eyes On Me』