染まりゆく君
知っていますか?
俺は先輩のことが好きなんですよ。
でもわかっているんです、いつだってそうだ。
先輩は兄さんと二人で先へ先へといってしまう。
俺はその後ろでみていることしかできない。
先輩が笑いかけて、見つめている先には兄さんがいて。
そんな先輩を見ているのはつらくて、だけど気づけば
いつも先輩に視線がいってしまう。
先輩は優しいからこんな俺のことも
案じてくれる。嬉しかったんです。
少しでも俺のことをみていてくれた。
俺のことを考えていてくれた。
たとえそれが俺の望む想いとは違っていたとしても。
先輩はもうじき兄さんと一緒にいってしまう。
・・・俺の手の届かないところへ。
おかしいな、わかってたのに。
もたげる感情をぐっと抑えつけて精一杯の笑顔をむける。
さようなら、先輩。