朝の遊歩道で
「うぅ……寒い」
「俺だって寒いよ」
「弾君と僕じゃあ身体のつくりが違うと思うよ……」
硯の毒舌はこの寒さでも絶好調だった。というよりそうでもして気を紛らわせたかったのが正しいのだが。
ひどいなー、と笑った弾は、ふと気になったことを硯に尋ねた。
「なぁ硯、まさかいつもの服じゃないよな」
「え、そうだけど」
「ちょ、あんな首もとあいてる七分袖を!? 長袖じゃなく?」
「うん。……って、どうしたの弾君!」
「さっさとこんな宿題終わらせてさ、バトスピやろうぜ」
腕を強く引いて早歩きし始めた弾は、振り向いて硯に笑いかける。
「……デッキアウトさせてあげるよ」
「負けるもんか!」
風の冷たさを忘れた二人は言い合いながら駆け出した。