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朝の遊歩道で

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 朝の遊歩道は昼間ほどではなくとも人通りはある。だが川沿いの道には遮るものがなく、冬の冷たい風がきつくふいていた。

「うぅ……寒い」
「俺だって寒いよ」
「弾君と僕じゃあ身体のつくりが違うと思うよ……」

 硯の毒舌はこの寒さでも絶好調だった。というよりそうでもして気を紛らわせたかったのが正しいのだが。
 ひどいなー、と笑った弾は、ふと気になったことを硯に尋ねた。

「なぁ硯、まさかいつもの服じゃないよな」
「え、そうだけど」
「ちょ、あんな首もとあいてる七分袖を!? 長袖じゃなく?」
「うん。……って、どうしたの弾君!」
「さっさとこんな宿題終わらせてさ、バトスピやろうぜ」

 腕を強く引いて早歩きし始めた弾は、振り向いて硯に笑いかける。

「……デッキアウトさせてあげるよ」
「負けるもんか!」

 風の冷たさを忘れた二人は言い合いながら駆け出した。
作品名:朝の遊歩道で 作家名:千砂