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HERO

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たとえば、の話やで。
誰か1人の命と引き換えに世界を救えるとして、俺は誰かが名乗り出るんを待ってるだけなんやろなー。

…いや、まあ、さっき聞いてた曲がミスチルやってんけどな。

あー、ちょぉ待って。んー、なんやろ、ちょっと違うな。
待ってるだけではきっと終わらへん。
なんでかって、俺の周りには世界を救うために命捨てるようなあほがようけ居るからや。
俺はそれを止めなあかん。
だってせやろ。世界にはまず俺がおって、それからお父、お母、兄貴たち、それから坊に子猫さんに奥村くんに、出雲ちゃんに杜山さん、とにかくみんながおって、笑ったり怒ったりしてできてるわけやんか。
その中の誰がおらんようになっても俺の世界はきっと変わってしまう。そんなん嫌やんか。意味ないわ。
せやから俺は誰もあほな気起こさんように見てなあかんし、あほな気起こしたら止めなあかん。
そうしてるうちにきっとどっかの顔も知らんような誰かが名乗り出てくれて、きっと世界は救われるやろ?

坊や子猫さんは呆れた顔するやろし、奥村くんは怒るやろなぁ。お父や兄貴にはどつかれそうや。
けど俺はなんも間違ってへん。
顔も知らんような何十億の命より、俺のそばにおって、しゃべってさわれる1つの命の方が俺にはよっぽど大事や。
せやからそれが消えたりせえへんようにする。

俺の近くの大事な命が消えへんように、無うならんように。
もし、もしやで、そうやって俺の世界が守れるんやったら、俺は誰も知らんところでヒーローになれるんちゃうやろか。
そしたら俺、ちょっとかっこいいと思わへん?
俺はなんも間違ってへん。
間違ってへんやんな?
作品名:HERO 作家名:ピロリ