二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

貴方は泣いてるときが一番かわいいの

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「何でおまえまで入ってるんだよ」
 役目を全く果たしていない牢屋の中でライオンは隣にいるシロフクロウへと問う。
 シロフクロウはいつもの穏やかな、そして裏で何を企んでいるのか分かったものではない笑顔で返してくる。
「私、オオワシが好きよ」
オオワシがシロフクロウを、というなら知っていた。西では周知の事実だ。しかしシロフクロウがオオワシを、というのは初耳だ。否、貴方も、とあの時に言ったのだから初耳ではないとしても、オオワシがシロフクロウへ寄せる感情とは異なるそれだと思っていた。
「好きな男の傍にいたいじゃない」
 シロフクロウの居住は東だ。オオワシは既に西の住民として認識されているし、オオワシ自身も東に戻る意思はない。風切り羽根を切られた今、シロフクロウにとって西と東は遠く離れている。言葉通りなら確かに牢屋の中でも都合が良いのかも知れないが、ライオンはその言葉を端から信用していない。
 シロフクロウはとてもとてもイイ性格をしている。大賢者として王に仕える身でありながらどこまでも嗜虐的な趣味はアッパーヤード最悪といって差し支えはない、とライオンは身方ながらに思う。傍にいたいなら、置きたいだけなら、オオワシを拉致して東まで攫い、心行くまで拷問でも調教でもすれば良いのだ。ただ見ているだけの牢屋の中などシロフクロウには似つかわしくないことこの上ない。訝しむ視線を隠しもせずにいると、シロフクロウはあっさりと白状した。

「好きな相手の一番かわいい表情を見たい、というのはおかしいかしら?」

合点がいった。要するに
「貴方といるとオオワシが泣きそうな顔で見てくるのよ」
嗜虐癖全開の行動理由だ。
「止められるわけないじゃない」
 言いながらシロフクロウは牢屋の外でパンダを抱いているオオワシを眺めている。今、その表情は笑顔だ。平和な西に相応しいそれをシロフクロウは

「グチャグチャにしたいわ」

物騒な眼で見ている。


 あーあ、とんでもない女に好かれやがって。

 ライオンは心底から哀れんで牢の外に視線を投げた。