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夢を見ました。

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夢を見ました。

貴方が隣にいる夢です。

貴方のそばに立つ俺は、とても幸せでした。

けれど、そのときの貴方は、どうやらもうすぐ遠くへ行かなくてはならないそうで、悲し
そうな顔で俺に謝るのです。

俺は、貴方がいなくなってしまうのは嫌でしたが、謝る貴方を見て、つい笑って貴方を送り出してしまいました。

また会えるから。

俺は、そう考えていたんだと思います。

貴方を見送ってしばらくしてから、一本の電話がかかってきました。

貴方が死んだ、と、聞いた事のない知らない声は言うんです。

俺は、嘘だ、と言いました。

でもそこで電話はきれてしまったんです。

焦った俺は、電話機に記録されたその電話番号にもう一度かけました。

だけど聞こえてくるのは感情のない機械の声だけ。

俺は受話器を投げ捨てて必死に貴方との思い出を頭に思い浮かべようとしました。

貴方が死んだなんて、認めたくなかったから…。

でも、でもどうしてもどうやっても、貴方の事を思い出せないんです!

終いには俺自身が貴方との過去を疑い始めました。

あれは、幻なんじゃないかって。

心が冷える心地がしました。

貴方といた感覚は残っているのに、それを証明するものが何一つ無いんです。

わけがわからなくなって頭がゴチャゴチャになったところで、目が覚めました。

側には変わらず貴方がいて、どれだけ俺が安心したか!

だから、だから泣いたんですよ。

笑わないで下さい。

本当に怖かったんですから。


作品名:夢を見ました。 作家名:10Ag