ルック・湊(ルク主)
出会い
「ルック・・・また星がめぐっているようです。」
「はぁ。」
「今回も、あなたは天間星として、同じく運命をともにする宿星とともに天魁星である少年の力になってあげて下さい。」
正直、またですか、とルックは思ったが、言っても仕方のない事。ため息をつきつつ、わかりました、とレックナートとともに辺鄙なボロボロの城らしきところへ飛んできた。
「湊、“輝く盾の紋章”を受け継ぐ少年・・・・時は再び回り、多くの宿星が再び集まろうとしています。あなたに“約束の石板”を託します。ここに現れ出る名前、仲間こそがあなたの力です。」
レックナートがそう言ったとたん、ルックも姿を現した。
「僕はレックナート様の弟子のルック。そしてこれが“約束の石板”さ。ありがたいことにレックナート様がこれをあんたにあげるってさ。・・・あと僕も仲間になってあげるよ。気はすすまないんだけどね、レックナート様の言いつけだから、しかたないよなぁ。」
そう言って、どうやら今回の天魁星らしい子を見た。
なんだあの小さい猿は。あんなでリーダーとか、務められるわけ?まぁ、外見だけでは分からないけどさ。
ルックはそう思いながらまた、小さくため息をついた。
その間にレックナートは言いたい事を言ってしまうと消えてしまった。
ふと周りを見ると、見た顔がある。
「やあ、ビクトールとフリックじゃない。生きてたの?」
「て、てめぇ・・・」
ルックのアレな態度にビクトールが唸った。
「こ、こちらの方もお知り合い?」
ナナミがそんなビクトール達に聞く。
「まぁね、昔一緒に戦った事がある。」
それに対してフリックが答えた。
「ちっ、まぁいいか。さぁ、今度こそ本当に宴会だぁ!!!」
ビクトールは新しく出来た本拠地と少し増えた仲間を祝っての宴会しか脳内にない様子である。
あいかわらずな熊だな・・・、宴会?めんどくさい。僕は遠慮させてもらおう、そうルックが考えていると、ふと近づいてくる者がいた。
見れば今回の天魁星だった。
「はじめまして。よろしくね、ルックさん。僕は湊って言うんだ。」
「・・・名前はもう知ってるから。それに僕に対してさんづけはいらない・・・。」
別に親切で言ったわけではない。なんだかさんづけで呼ばれるのが気持ちが悪いだけだ。
「そう?じゃあ、よろしくールック。」
そっけなく言ったにも関わらず、今回の天魁星はニッコリと笑ってきた。
なんだ、どっか抜けてんじゃないの?
ルックはそう思いつつもいちおうコックリとうなづいておいた。湊はまだルックを見ている。
「・・・何?何かまだ用でも?」
「ルックてさ、女の子かと思ったけど、男の子なんだね。」
向こうでビクトールあたりが噴き出すのが聞こえた。そちらはまったく無視して、ルックは目の前の新軍主をジロリ、と見る。
「人の事、言えないだろ・・・。君だって小さくて女の子みたいじゃないか!!」
「えーそうかなー僕は男だよ?」
「っ知ってるよ!!」
あまりのボケっぷりにあいた口がふさがらなさそうだ。相手してらんない。ルックはくるり、と向きをかえ石板を瞬間移動させようとした。
「あ、ルックもちゃんと宴会、出てね。絶対だからね!」
子猿はニッコリとそう言うと、今回の軍師らしき男のもとへ戻って行った。
「・・・何なんだ。」
茫然としていると、フリックが笑いながら声をかけてきた。
「珍しいな、お前がそんなに声を荒らげるのは。あいつ、なかなかおもしろい奴だろ?」
「ふん・・・面白くもなんともないよ。今回の天魁星はカリスマ性もへったくれもないね。あんたもよくリーダーと認めたね、前回はリーダだと認めるのに、だだこねてたみたいなのに。」
「だだって・・・。まあ、あいつもなかなか、やる奴だよ。」
フリックは苦笑しながらそう言った。
3年という月日は普通の人間にとってけっこうな長さらしい。あの青かったフリックがほんのり大人じみてみえる。
「まあ、僕に迷惑がかからない限り、どうだっていいよ。」
そう言い残すと、ルックは石板ともども消えた。
翌日、宴会に出なかったと子猿にしつこく言われ、さすがのルックも、次からはいっそ出たほうが楽だと判断する羽目になった。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ