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ルック・湊(ルク主)

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「みんな、よく聞け。王国軍はマチルダ騎士団を手中にし、その軍勢は騎士団を加えておよそ5万5千。それに対し我が軍は2万5千ほどである。」

しばらくのち。
広間に皆が集まった。
そしてシュウが兵数を述べる。フリックがつぶやいた。

「まともにやりあえば、ひとたまりもないってことか・・・。」
「そこで我々は軍を二つに分ける。一軍はキバ将軍を率いて、ミューズの東へ軍を出す。ここは、ハイランド王国の喉元。王国軍は軍を二つに分け、こちらへ向かわざるをえなくなる。そこで、残りの軍は全力でマチルダ騎士団に攻め込む。それでも圧倒的に向こうが多い。これは賭けだ。全てを賭けた大きな賭け。命をかけねば、勝ちを得られぬ賭けだ。戦いは、今までにない熾烈なものとなるだろう。追いはしない。とがめもしない。命を惜しむ者は今、この場から去ってもらいたい。」

すると広間は少しざわついた。
だが、誰ひとり動かない。

「今さら惜しむ命でもないのでね。」

ビクトールがニヤリとした。フリックも口を開く。

「退く訳にはいかないさ。あいつに笑われちまう。」

その他の者もみな口々に湊に話しかけた。“ここまできたら、もちろん、やるしかないだろう!?”

「湊殿。わしの命は既にあなたに預けてある。思う存分、お使い下され。」

そう言ってキバが笑いかけた。

「・・・キバ、将軍・・・。」

湊もなんとか笑顔でキバを見た。

「がんばろうね、湊。大丈夫、大丈夫、絶対、勝てるよ。」

ナナミも笑顔で湊を励ます。
湊はス、と一歩前へ出て皆の前に立った。

「皆、力を貸してくれ!」

今までにないような力強さで、湊は言いきった。その場が湧きあがる。
そして翌朝。まずキバが少数の軍を率いて出陣していった。

「湊殿。ここまで、来たのだ。この戦い・・・必ず勝ちましょうぞ。それでは、先に行かせていただきます。湊殿、ご武運を。」
「キバ将軍・・・。あなたもご武運を。」
「ありがとうございます。」

そしてキバ将軍は背を向けた。そばで立っていたクラウスがそっと呟くように言う。

「父上・・・ご武運を・・・。」
「クラウス。湊殿に良くお仕えするのだぞ。」
「はい・・・。」
「お前のような息子を持てて、わしは鼻が高いぞ。」
「父上も・・・私の誇りでした・・・。」

そしてキバは軍を引き連れ城から出て行った。

「・・・勝てる、よね・・・?・・・必ず・・・。」

ナナミが呟く。するとクラウスが言った。

「ええ・・・。この戦いは勝てます・・・勝たなきゃいけません・・・・さぁ、シュウ殿が待っているはずです。我々も広間に行きましょう。」

湊は頷き、そして3人は城の中に入って行った。

「お前もそろそろ広間に行った方がいいんじゃないの?」

離れたところでその様子を見ていた詩遠が言う。

「ああ。」
「湊を陰でもずっと守るつもり?あの子はそんなにヤワじゃないだろ、ルック。」
「まあ、ね。ただどんどん紋章のせいで・・・。まあ、いい。」
「・・・この決戦後、多分ロックアックスに乗り込むんだろう。その時は俺も手伝うよ。・・・キバ将軍・・・厳しいな。出来れば手助け、してあげたかったけど、ね。」
「へぇ、あんたがね。めずらしい。」
「言うね?・・・まあ、ちょっと昔を思い出したってとこかな・・・。鼻が高いっていう言葉・・・きっとクラウスの宝になるよ・・・。」
「・・・。」
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ