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ルック・湊(ルク主)

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そう言っても返事がなく、本当に心配になってくる。そしてドアを開けるも襲ってくるであろうと思っていた湯気がない。むしろ室内は冷えた様子である。そんな中で湊は無言で俯いた状態でひたすらシャワーを浴びているようであった。

「・・・湊・・・?て、もしかしてそれ、水?」
「・・・詩、遠・・・さん・・・。どう、しよ。シャワー浴び続けて、も、おさまん、ない。」
「え?と、とりあえずそんなじゃ風邪ひくよ?なんでお湯使わないの?」
「・・・らって・・・。だってお湯じゃ意味、ない、もん。れも・・・でも、おさまんない。なんで?」
「・・・えっと。あの、さ?どうやら先ほどの果物はそういう機能がある果物、だったみたいだよ?だからね、うん、仕方ないよ。だからおさめるよりは自己処理した方がね、余計なお世話だとは思うけどね?うん、早いと思うよ?」
「・・・。」

詩遠が遠慮がちにそう言ってみても、湊は変わらず俯いたままであった。
まさか、とは思うけど・・・と思いつつ詩遠は聞いてみた。

「あの、湊?えっと、ホントに自分でやったことない、とか出来ない、とかそんな訳、ないよ、ね?」

すると俯いたまま湊が首をふるふる、と振った。
うわ・・・そんな子、いる、の?今まである意味よく暮らしてきたね、というか・・・。

詩遠は内心驚きつつもそっと溜息をついた。どうしようもないね、これは。

「・・・とりあえず、それじゃあ風邪、ひくよ。なんとかしてあげるから、シャワーとめて出なさい。俺は部屋にもどってるから。体ちゃんとふいて、着替えたら俺のとこきなね?」

湊が頷くのを見てとると、詩遠はドアを閉め部屋に戻った。そして湊が肌身離さず持っているスカーフを見た。

「んー、これでいいか。」

しばらくすると湊が部屋に戻ってきた。相変わらず俯いたままであるがなんとも切なげな顔つきをしている。

「湊。とりあえずここに座って。」

詩遠はベッドを差した。湊は少し躊躇しているようである。

「大丈夫。大丈夫だから。」

何が大丈夫なのか分からないまま、湊はおずおずとベッドに上がり、座った。

「多分ね、あの果物のせいでね、出さないときっとおさまらないと思うよ。湊、ちょっとごめんね、目、覆うから。」
「・・・え?」

ポカン、としている湊の傍に行き、詩遠は湊のスカーフを使って湊に目隠しをした。

「・・・な、んで?」
「やり方を教えてもいいけど・・・今はそんな事してる場合じゃないし、今そんな事を教えるのは、状況的に返って俺も困るからね、少しアレ、齧ってるし、ね。目、瞑っておいで。もう俺も喋らないし、湊も何も考えなくていいから。むしろルックがいると思ったらいいよ。」
「え・・・。っあ・・・」

手がそこに触れるのが分かった。
詩遠さん。
詩遠さん・・・。ムリだよ、そんな風に気を使ってくれても・・・かえって詩遠さんの存在が強く脳裏にまで焼きつけられるよ。
ルック・・・ごめんなさい。
ちゃんと、ルックが・・・大好き、だ、から・・・。
目を覆っていてもツ、と流れた涙を、詩遠は優しくキスでふきとってくれた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ