ルック・湊(ルク主)
ほんとこの子は素直でいい子だよ、と詩遠はニッコリとする。
「で、ルックだけど・・・。ねえ、湊。真の紋章の気配が分かるなら、湊も昔ルックがしてたように、離れたところにいる存在も感じられるんじゃないの?」
「うーん。それがねー。実はやってみたりしたんですけどね、いくら紋章が強くても、僕の技術がまだ追いついていないというか。あまり離れたところの存在までは。それにルックは多分かなり上手く隠してますし。今まで真の紋章の気配、感じた事ないもの。」
「そっか。じゃあ仕方ないね?じゃあ、あの雷の人らについて行ってみよう。」
「え?でもルビークに行くんじゃ?」
「ふふ。湊の方からよりもこちらのが、彼らが見えやすいからね。読話してたらどうやら彼らもルビークに向かうようだよ?丁度いいじゃない?」
詩遠がニッコリと言った。
「わ、さすが!じゃあはい!そういう事で!」
湊もニッコリと答えた。とりあえず張り付いたままという訳にはいかないので様子をうかがいつつも先に食堂を出た。そして街の出口近くの露店をブラブラと見る。
「って、あ!!」
しばらくすると、ふいに湊が叫んだ。
「?どうかした?」
「え?あ、その、えと。」
すっかり忘れていた。昨夜の事。でもどうせ忘れるならいっそずっと忘れてたら良かったのに、と湊は思った。
でも謝る気満々だったのに、どこでどうずれちゃったんだっけ?
そして目の前で首を傾げている詩遠をジッと見た。
「あの・・・、昨日はすいませんでした。」
すると詩遠が、ああ、という顔をした。すぐに分かってくれたところを見ると、やはり詩遠さんはわざとなかった事にしてくれていたんだろうな、と湊は思った。
「別に、気にしないで。」
「いえ、軽率でした。ほんとすみません。これからは食べ物も、もうちょっと気をつけます。あとその・・・へ、変な事させてしまってごめんなさいっ!」
途中からは真っ赤になって湊は頭を下げた。
「ふふ、頭、下げないでね?出会った頃にも言ったの、覚えてるかな?礼儀正しい子は好きだけど、頭、下げられるような事はしてないよ?」
ふとバナーの村で初めて出会った時の事を思い出し懐かしくなった。確かに詩遠さんは同じ事、言ってた。
「うん!懐かしい・・・、あ、いや。えっと、でも。」
「どっちかといえば役得かな?だから謝らないで。」
「え?」
怪訝な顔をして詩遠を見ても、詩遠はニッコリと笑い返してくるだけであった。
「?えっと、じゃあ、はい、分かりました。とりあえず、ありがとうございました。」
「いえいえ、こちらこそ。」
「??あ、詩遠さん!彼らの姿見えた!」
「あ、ホントだ。じゃあ、俺らもそっと後で出発しようね?」
「はい!」
湊はニッコリとうなずいた。
そうして2人はルビークへと向かった。
かの地では仮面の神官将とつきそいなのか魔術師の女性がそこを訪れているところであった。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ