ルック・湊(ルク主)
観察
「おはようっ、ルック!」
いつものように、ニッコリと湊が挨拶をしてくる。
「今日もあとで一緒についてきてくれる?」
「ん?ついて行ってあげてもいいよ。」
といつもと変わらない返事をしつつも実は内心はルックはかなり幸せ感を味わっていた。
…最初のころは仕事だから仕方なく、と思っていたはずなのに・・・まったく僕も落ちたものだよ、とか軽くニヤっとしつつ思っている。
それにしても気づいた事がある。
皆と仲良く楽しげに喋っているイメージが定着している為気づかなかったが、湊って、いつも朝一番に僕のところに挨拶に来ているような気がする。
・・・気のせいじゃ、ない、よね?そう思いつつどうしたってその事実にさらに顔がゆるまざるをえない。
あともう一つ気づいた事柄が。
「あ、おはようございます、湊さん。」
湊に気づき、ニッコリと挨拶をしているフッチを見つけた。
前からどうも湊が絡むと自分に対してトゲが感じられる、と思っていたけども。フッチって、あれ、絶対湊の事が好きなんじゃないの?
ムッとしながらルックはその光景を見ていた。
シーナに言われてとりあえず周りをもよく見るようになったが、いっそ気づかない方が良かったと思う。
湊に挨拶をしている有象無象を見ていて、ルックも分かるようになった。
中には普通に好意を持っているだけ、とか、すごく可愛がってそうだが、それは我が子や弟のようにみているから、といった者とかもいる。
だが。
「あー今日も俺、湊様と挨拶しちゃったよー。どうしようあの人ほんっと可愛いよな。」
「だよな、あの元気なところがまたたまらん。」
そういいながら気持ち悪く顔を赤らめつつ通りかかる兵士。
ルックは軽くロッドを動かした。
「っあれ?なんか急に身体が重く感じる・・・。」
「ああ、俺も・・・。今攻撃とかされたら絶対やられそうな感じ。すげえ防御率が落ちた気分っ。」
先ほどの兵士達が首をかしげながら歩いていった。
それをひきつったような顔で、向こうから来たシーナは見つつ、ルックに近づく。
「ちょ、おま、今の絶対なんかしただろ!?」
「・・・なんの話・・・?」
「なんの話、じゃねえよ。あきらかにしたとしか思えねえじゃん。ちょ、兵士なんだぜ、防御下がるとか、マジねぇよ。ヤバいだろうが。」
「・・・うるさいな。何ターンか過ぎればもとにもどる。」
「って、やっぱお前がなんかしたんじゃねえか。つか、何いまの。ルックが宿してる土なら防御率、上がる事があっても下がる事普通ねぇだろ!?」
「応用だよ、バカじゃないの?」
「バカって・・・。ほんっと相変わらずだよな。そして魔力もパねぇな。応用とか、普通出来ねぇから。俺、土の紋章がデフォだから、それくらい分かるぞ。」
「知らないよ。で、何。何か用?」
「・・・。あー。いや、別に用って訳は・・・」
「じゃあ来ないでくれる?もう少ししたら湊もまたこっちに来るだろうし、シーナ、邪魔。」
「うわっ。何それ。つかお前、認めたら、んだよ、その変わりよう!?ちょ、ウけるっ。」
最初呆れたように、だが途中から楽しそうにシーナが言った。
「僕はおもしろくともなんともないね。何、何か変わったとでも?」
「ああ、変わったじゃん。今までだったら、湊来るから邪魔とか、ぜってー言わねぇっしょ?それにさーさっき、湊に声かけられた時のしまりのない顔ったらっブフッ」
「ちょ、あんた、いつから見てた訳!?ストーカー!?」
「だってー恋するルッきゅんが可愛いんだもんっ。」
「は!?ふざけてるんじゃないよっ。」
「っわあ・・・」
そこに別の声。
「み、なと?」
「え、何何?え?ちょ、も、もしかして2人って、そ、そうゆう関係なの!?」
「はあ!?」
気づけば湊が傍にいた。そしてとんでもない事をほざかれました。
「ちょ、何ふざけた事言ってるのさ!?僕とシーナが!?やめてよねっ、気持ち悪い。」
「ちょ、気持ち悪いって、それは何気に酷い。」
「あれ、違うの?なんかシーナが可愛いとか言ってたし、ルックも顔、赤らめてたから・・・」
「ほぼ怒りで赤らめてたんだよっ。それより、何、何か用?」
「ああ、うんっ。仲間探し、今日も一緒に来てくれる?」
「ん?ついて行ってあげてもいいよ。」
「シーナも行く?」
「え、俺もいいの?」
「そりゃあ。でも途中でナンパしたらダメなんだからねっ。」
「・・・つか来なくていいよ、もう・・・。」
「「ん?何か言った?ルック?」」
片方はあきらかなドヤ顔。まったく。
そんな、今の日常。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ