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ルック・湊(ルク主)

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ルックが湊の表情を見て、スッと手を出してきた。湊は何も言わずそれにすがる。
すると気づけばルックの部屋の中だった。座っているように、と湊に告げると、ルックはお茶を淹れ出す。
そうして黙ったままの湊に、暖かいお茶を出してきた。

「飲みなよ。温まる。」
「・・・うん。ありがとう。ルック・・・。」

コクリ、と飲むと、温かいものが喉を通って胃におさまるのが分かった。ホッとする。
いつもはハーブティーをストレートに出してくれる事が多いが、今回はミルクたっぷりのミルクティーだった。

「美味しい、ありがとうルック。」
「うん。」

そうしてルックも座って一緒に飲む。
「・・・あのね、ルック。ほんとは言ったらダメなのかもだけど、でもルックなら多分シュウさんも怒らないと思う。」
「うん。」
「ルカが、夜襲をかけてくるって、さっきのレオンって人が。」
「・・・。」
「事実かどうか分からないけど、シュウさん曰く、今の優位に立ってる向こうが、わざわざそんな嘘つく必要ない、だって。」
「そう。」
「・・・決断、しないといけないんだ。僕が・・・。うん、分かってる。これを逃したら後がないって。だから僕は、“出撃する”って言わないといけないんだよ。勝てるかどうかさだかじゃない勝負に・・・皆に、死にに行ってくれって、言うような事かもしれないのに・・・、それを僕は、言わないといけないんだ。」
「・・・。おいで。」

ルックはそういうと、湊の腕を持った。湊が立ち上がりルックの傍にくると、そのままルックは湊を自分の膝の上に横向きに座らせる。
そうしてギュっと抱きしめた。
湊はポカンとした後、顔を真っ赤にさせた。

「誰も・・・、行きたくないと思っている兵士は誰もいない。もし君が出撃しよう、と言わなくても皆は戦いに出る。誰もが終わらせたいと願っているから。君に行けと言われたから行くわけじゃない。ただ指揮するリーダーがいないのではそれこそまとまりなく、無駄死にする結果になってしまう。君がいてこそ、この軍はなんとか今まで保ってこれたんだ。それを皆もよく分かっているからこそ、普段から君を慕ってついてきているんだ。誰も強制されてここにいるのではないよ。」

ルックが饒舌になる時はいつだって湊を慰めたり励ましてくれる時だ。湊は目がしらが熱くなった。

「そして誰もが君にリーダーを務めて欲しいと、君についてきたいと思っている。死にに行ってくれ、などと誰も思わない。湊。君とともに、戦いたい、と思っている。」

むしろ、君の為に戦いたい、と思っているだろうよ、と内心ルックは思った。負担になるだろうから言わないが。

「あ・・・ありがとう、ルック。ルックはいつも僕に安心をくれるね。・・・ごめんね、僕は君にあげれてないのに。」

湊もさらにギュッと抱きついてきて、そう言った。
もらってない・・・?いや、湊には絶えずいろんな気持ちをもらっているが、とルックは思った。

「なぜそんな事を?」
「だって・・・ルック、昨日からなんとなく様子がおかしいでしょ?なんだか元気ないし。なんかあったのかと思ったんだ。」
「・・・いや、大丈夫。」
「・・・そうなの・・・?もし、もしなんかあったら、僕じゃ頼りないかもだけど、いつでも言ってきてね!?ね!?」

ガバっと離れて、湊が真剣に言ってきた。それがなんとなくおかしくて、ルックはフ、と少し笑う。

「君を励ましているつもりだったのにね?分かった、ありがとう、湊。」

そう言ってルックは軽く湊にキスをした。

「うん。ルックこそありがとう!すごく気持ちが楽になった。もちろん、軽んじることは出来ないけども。でも。やる。やるよ。」

湊がニッコリと言った。
今晩。最後の戦いになるかもしれない。いや、なればいいのだが。とりあえず、湊に何もないよう・・・ルックはそっと思った。

先の戦いでは湊は輝く盾の紋章を使う暇すらなかった。
絶えず湊の紋章へのアンテナをはっているから分かる。

だが・・・夜襲・・・。

普段なら紋章を使うな、くらい言えるが、ルカ戦となると・・・さすがに言えない。
この戦いの為にずっとやってきた訳だ、言えるわけがない。

だが。

ルックはなんともいえない思いに駆られた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ