ルック・湊(ルク主)
湊がニッコリと耳を傾けた。
「それね。ほら、雨、結構ひどいじゃない?俺、帰れないし、良かったら今日、泊めてもらえないかなぁって思って。」
「ああ、そんな事。もちろん!!こんな中、あの山道越えるとか、危ないですもん!是非泊まって行って下さい。」
「・・・僕が送ってあげるけど?」
風を送り終えたのだろうか、冷ややかな目をしたルックがいつの間にか2人の傍に来ていた。
見れば女性達がお礼を言って乾いた洗濯ものを持って去って行くところだった。ルックは一応その女性達に手をあげてからまた、詩遠に向き直る。
「え、いいよ、そんなの、悪いじゃない。」
「遠慮、しなくていいよ?僕が送ってあげる。」
「わあ、どうしたの?ルック。いつになく優しい!」
まったくもって2人の意図に気づいていない湊がニッコリとルックに言った。
「だねえ。でも湊、この雨の中、いくらテレポート出来るからって言ってもさ、多分、今、けっこう魔力使ったルックをってね、危ないよね?」
ものすごく良い笑顔で詩遠が言った。
誰のせいだ!とルックは内心舌打ちをする。
「あ、ほんとだ。うん、ルック、ムリしちゃだめだよ。詩遠さんさえいいなら、泊まっていってもらおうよ。」
「うん、もちろん、俺はかまわない。そうだなあ、湊、君の部屋に泊まらせてもらってもいい?」
「ちょっ」
「ええ!もちろん!!わあ、楽しみ!!いっぱい話、しましょうね!」
「うん。色々、ね、しよう、ね?」
ニッコリと笑顔で言う詩遠に、湊もニッコリと笑いかける。
「はい!」
もはや下心しか見えない。ルックが口を開いた。
「ちょ、待ちなよ!何も軍主の部屋に泊まる事はない。僕の部屋にしろ。」
「え、やだルッくん、俺、まだ心の準備が・・・」
「ふ ざ け ん な よ!?」
「湊、なんかルックが怖い。」
「どうしたの?ルック?別に僕はいいよー。それに僕の部屋、無駄に広いし。」
どうしたの、じゃないから。ルックはいまいましそうに思った。
ほんと、こういうところ、湊の鈍さに呆れる。
「ベッド、一つしかないだろ。」
「え、でもルックの部屋もそうじゃん。あ、詩遠さん、ベッド、大きいんだけど、一つしかないんですよ、いいのかなぁ?」
「もちろん(大歓迎だ)!」
「良かったー。楽しそうですよね。あ、眠ってから、もし僕、寝ぞう悪かったらすいません。」
「大丈夫。もし気になるっていうなら、俺が抱きしめててあげるから。」
「ほんとですか?良かったー。」
良くねぇよ!
ルックらしからぬ突っ込みを内心でおこなう。
この天然、ほんとどうにかして欲しい。ルックはため息をついてから、また口を開いた。
「だったら僕も湊の部屋で寝る。」
「「へ?」」
この下心しかないであろう詩遠と、誰が2人っきりにさせるものか。
「えっと、ベッド、一つなんだけど?大きいから大丈夫かなぁ?なんか楽しそう!」
湊はびっくりしつつも楽しそうに笑って言った。
詩遠の笑顔はなんだかピクピクしている。
その後で、ここに立ってても仕方ないし、もどりましょうか、と言いながら歩き出した湊の後をついて行きながら、2人はぼそぼそと言い合った。
「あくまでも、邪魔、するんだ?」
「邪魔?はなから僕と湊の間に入ってきて邪魔している君に言われたくないね!」
湊は振り返りながら、何を言っているか分からないけど、ほんと仲、いいなぁ、とうらやましげにそんな2人を見ていた。
作品名:ルック・湊(ルク主) 作家名:かなみ