みて、と掌を俺の目の前に翳す馬鹿は、こちらからすれば逆光ということを忘れているようだ。一瞬目を細めて、指の隙間から零れる光を視界にいれないようにその手を見ようとするけれど、どうにも光が邪魔でただの影になっている。こいつが掲げた場所が悪いのだとその手を握って下に落とした。どうやら掌に何かかいてあるらしい。らしい、というのは、見てといいながらこの馬鹿は手を握り締めてしまってそれを閉じ込めてしまったからだ。
何を考えているのか罵倒しようと顔をあげた。いつも目だけで読み取れるこいつの感情は、やはり逆光で微かにしか見えなかった。
なんで、笑っているんだよ。
【言いたい、言えない】