えんこー獄ヒバ
−ホテルの一室の出来事−
「五万、確かに貰ったよ」
満足そうでもなく、淡々と札を数えて仕舞う。その手付きは妙に大人びて見えるが、相手はまだ中学生だ。それに嵌まっちまっている俺もどうかとは思うが。
「今日は何をして欲しいの」
中学生には過ぎた大金の対価は、まともな人間では到底割に合わないものなんだろうが、俺にとっては五万もの金額が安く感じるほどのものであった。
「そうだな……」
考える振りをして口許に手をやって笑みを誤魔化した。そんなもの、来る前から決まっている。何しろずっとこいつのことしか考えられないくらいに脳が支配されているのだから。
お願いをひとつきいてくれる、なんて贅沢すぎるだろ?