二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

僕の可愛い人ですから

INDEX|17ページ/17ページ|

前のページ
 

「それで、あんた、なにを贈ってもらったら嬉しいんだい?」
「……それって、本人に聞くものなのかにゃ」
「それが一番手っ取り早くて間違いないじゃないか。あたしはねぇ、まどろっこしいのは苦手なんだ」
「でも、それじゃ、サプライズ的な喜びとゆーものが……」
ごにゃごにゃとシュラは言ったあと、ふと、あることが気になった。
「そーいえば、アタシと雪男のこと、自然に受け止めてるように感じるんだけど」
「それが、どうかしたのかい?」
「アタシと雪男の年齢差、知ってるよね?」
「ああ。あんたが十八歳じゃないことぐらい、ちゃんと知ってるよ」
「……」
ふふんと笑う女将に対し、シュラは言葉を失ってしまった。
女将は煙管の雁首を下に向けて煙管盆の灰吹きに灰を落とした。
それから、また煙管を楽しむためか、女将は刻みタバコを手に取った。
「あたしもこの歳まで生きてきて、いろんなことを経験してきたし、いろんなものを見てきたさ」
女将は雁首の火皿にタバコを詰める。
「たしかに年齢差が大きいのは気になるね。でも、結局は相性だろ」
「……」
「恋愛についちゃあ、理想なんて言ったってムダなんじゃないかねぇ。理想の条件ぜんぶ満たした相手がいたとしても、一緒にいていいと感じる相手には勝てないだろ。だって、気がつかないあいだにもう好きになっちまってるからねぇ」
煙管に火がつけられた。
女将はそれを吸う。
少しして、煙管の吸い口を離した。
「てな話を若先生にもしたよ。驚かないのかって若先生が言うもんだから」
ククっと女将は笑う。
「それでさ、話を聞き終わったあと、若先生が言ったんだ」
眼を細め、楽しげな表情でシュラを見て、告げる。
「不本意ながら僕にとって一番いいのはシュラさんのようです、ってさ」
「……なにが不本意ながらだ! 不本意なのはこっちだっつーの!」
シュラは声を荒げた。
だが、それは照れ隠しだ。
まさか雪男がそんなことを言っていたなんて。
めちゃくちゃ恥ずかしい。
これが十代の勢いというものなのか。若いって恐い。なんて言ったら、雪男はまた子供扱いすると言って怒りそうだが。
しかも、ちょっと嬉しいような気がする自分が猛烈に恥ずかしい。
「それで、どうなのさ?」
女将が聞いてくる。
「欲しいもの、思いついたかい?」
「……欲しいものねぇ」
シュラは話を別の方向に持って行くために、欲しいものについて真面目に考えることにした。
そして、思いついた。
「やっぱり、酒だな!」
「……あんたねぇ」
女将はあきれた顔をしている。
「なんで若先生が直接あんたに聞かなかったのか、たった今わかったよ。中元や歳暮みたいに、缶ビールの詰め合わせを贈れって言うのかい? だいたい、未成年に酒を買わせるわけにはいかないだろ」
「あ、そういえば」
「そういえばじゃないよ、ホントにもう」
ハァと女将はため息をついた。





作品名:僕の可愛い人ですから 作家名:hujio