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専用笑顔

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「なぁ、金兄」
「どないした、廉造?」
随分と前から気がついていた。金造の笑顔には2種類ある。1つは廉造や他の皆に対する笑顔。もう1つは

柔造に対する笑顔。

明らかに織り込んである愛情の桁が違っていた柔造に対する笑顔。まさに、柔造専用の笑顔。

「金兄は、俺のことどう想ってるん?」
「はぁ、お前何云っとるんや」
きっとあの笑顔が変わらない限り、無くならない限り。金造は廉造のモノになることはない。金造の目には何時も、柔造しか映っていなくて、柔造しか入っていなかった。
「柔兄が、好きなんやろ?」
"好き"という止めどないこの気持を、今まで幾度飲み込んできただろうか。そんな気持すら理解せずに、当人達は何を気にする事もなく笑顔で居た。
俺に永遠に向けられることが無い笑顔で。
「んな…そ、そんなわけないやろ…」
ほぅら、名前が出ただけで顔が赤い。
そんな事に嫉妬している自分が見苦しく、悔しく。
それでも尚、何時かこの手の中に入るのではないかと微かな希望を持っている自分が居るのが、腸が煮えくりかえる程に苛立たしく。
いっそ一思いに殺してやろうかとも想えば手は動かない。
なんて俺は、弱く惨めなのだろうか。
目の前の人に手を伸ばすことが出来ないなんて。
どうでも良い事にはどうとでも対応出来るのに、本当に愛している人となれば臆病になって。
「…そうか」
あの笑顔は永遠に、俺に向けられることはない。
作品名:専用笑顔 作家名:男子生徒A