二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

彼には友達が少ない!!

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「僕と結婚してください!!」
決死の覚悟で口をついたのは、偶然だった。
本気であったし、後悔もない。
「・・・。」
ダメかと相手の顔をのぞくと涙を流しながら口をパクパクさせている。
「あ、あの」
ようやく声になって僕に届く。
緊張の一瞬だ。
「僕なんかでよければ。」
その瞬間、僕は彼を抱きつぶす勢いで抱きしめた。

それから、彼の働くホテルでの結婚式の流れになり、とんとん拍子に話が進んでいく。
「友人のスピーチなんだけど、僕はトリコかな?」
彼の電磁波が少し乱れた。
「あ、あの、僕、実は昔から料理ばっかりで友人って少なくて・・・、あの、以前お知り合いになったメルクさんにスピーチを頼もうかと思うんですけど、失礼にならないですかね?
お知り合いになってそんなに経ってないし・・・。」
僕は小松君らしいと笑う。
「友人が少ないって、きっとそう思ってるのは小松くんだけだよ。
僕の友人っていうとあの2人プラスもう1人くらいなものだけど、あの二人は小松くんのことを友達だと思ってるよ。(きっと)」
「4天王の二人が友達で、一人が結婚相手だなんて、僕、なんかすごい人みたいですね。」
「小松くんは凄いんだよ。
センチュリースープだけじゃない。
君の心が凄いんだ。」
顔を真っ赤にさせて顔をそらす。
「とりあえず、スピーチの方の連絡をいれないとね。」


当日、結果として仲人になっているトリコのために今回のパーティーの料理は通常の量の数百倍で用意してある特別会場に僕らはいる。
「友人代表スピーチ、トリコ様お願いいたします」
あいつが手にしていた料理を飲み込んでスピーチ席まで移動している。スピーチとか結婚するんだなって実感するよね。とか思いながらスピーチを待つ。
「あー、ココの友人代表ということで彼の過去について少し話させていただきます。
あいつは昔から自分の体質を気にしていて、人と距離を置きたがるやつでした。同じような境遇の俺たちでさえ遠ざけるようなところもあり、こいつの将来について本気で心配した時もありました。
そんな彼ですが、今回、俺が紹介した小松と結婚することが決まったようで、正直、お前なら大丈夫だと思ったから紹介したんだぞ、と腹も立てましたが、一応、一応、おめでとうと言っておきます。
小松、いつでも離婚して俺のところに来いよ。
こいつより幸せにしてやるし、大事にしてやる自信がある。
今すぐ、俺との結婚式に変更しようぜ。
ま、とりあえず、小松を泣かせたら、ココには死んでもらいます。
小松、週7日でご飯を食べに行くから、これからも頼むぜ。
以上、スピーチを終わらせていただきます。」
小松の方をみて豪快な笑みを見せ、席に戻っていく彼に殺意がわいた。
色々つっこみたいが、やっぱり小松くん狙いか。しかも諦める気がない。ケーキに毒を仕込む計画を練る。
「続いてメルクさん、お願いいたします。」
2代目メルクがドレス姿でスピーチ席に立つ。彼女も多分小松くん狙いであろう。しかし、何が来ても結婚するのは僕。余裕を見せるんだ。
「このたびは、私と小松シェフの出会いについて語らせてもらう場を設けていただきありがとうございます。」
「待ったー!!」
さすがに趣旨が違うと待ったをかける。
「違う!!トリコより酷いじゃないか、僕と小松くんに対して、おめでとうと、末長くお幸せにという場だよ!!?」
「彼との出会いは・・・。」
「無視!?
主役を無視するとかいい度胸だね!!」
彼女にも毒を盛る計画を練りながら、彼女の話を聞き流していく。
「彼は優しく、可愛くとっても良いお嫁さんになると思います。
だから、小松シェフ、僕と結婚してください!!」
顔を真っ赤にさせていう彼女はとてもきれいである。
しかし何度でも言おう。これは僕と小松くんの結婚式だ。
「結婚式で、何、人の結婚相手に結婚を申し込んでるの!?
彼は僕と結婚するんだよ!!」
彼女はドレスに入っていたスリット部分に手を伸ばす。
「相手がいなければ問題ないんでしょ?」
手にメルク包丁を持ち僕に向ける。
「覚悟してなさい。」
そのままこっちに歩いてきて、小松くんの前で止まる。
「冗談はよしてくださいよー。
どきどきしちゃったじゃないですか。」
僕を見ていた時の鋭い視線は消え、彼に優しい目を向ける。
「ドキドキしてくれた?
嬉しいな。これ、結婚祝い。
いつでもこれで彼を刺していいからね。
そしたら僕がお婿さんに迎えてあげるね。」
もー。と笑う彼にあいつは本気だと伝えたいが冗談だと思い込む彼に真実を伝えてやる気はない。よって僕も笑うだけにとどめる。

とりあえず、彼には友人が少ないことがわかった。
彼には友人など存在しないのかもしれない。彼と知り合ったすべての人は恋人にしたいと虎視眈眈狙っているのだから。
結婚して最初にしなければならないのは害虫駆除だと判断して、その後ブラックリストを脳内に作りながら結婚式を終えた。

教訓。
本気の恋は結婚などではめげないらしい。

作品名:彼には友達が少ない!! 作家名:和伊瀬