夢
小学生のときそんな作文を書かされた記憶がある。
「俺は弱い人を助けるヒーローになりたい!!そして地球を守るんだ!」
なんて書いた記憶もあったりなかったり・・・。
子供の頃のちょっとした夢。
今ではそんなこと恥ずかしくて言えないんだけどな。
そんな俺に満開の笑顔で、
「コレ読んで!先生に褒められたぞ!」
嬉しそうに学校で書いた作文を俺に見せてくる静雄。
「ん?どれどれ?」
それを手に取り読んでみる。
『俺は大きくなったらきょーへーを守れる強い男になる。きょーへーを悪の手から守るために俺は今日も特訓をがんばります!』
読んでる俺の顔を一生懸命覗き込む静雄。
「どう?きょーへー?うれしい??」
得意げに言う静雄に俺は、
「ありがとう。楽しみに待ってるな?」
と頭を撫でながら褒めてやる。
へへへ。とはにかむ静雄を見て、嬉しくてちょっぴり泣けてきたのは秘密。
「とーちゃんに見せてくる!」
そう言って作文を握り締め駆けて行く静雄の後姿を見ながら俺は思う。
「俺も大人になったんだな。」
今この瞬間。
地球の平和は守れないけど、静雄とあの人との幸せを守れる。
それが俺にとって一番の幸せであり、
一番の楽しみだ。
「俺の夢、いつのまにか叶ってたんだな。」
こうして、俺の日常は穏やかに過ぎてゆく。
おまけ。
「とーちゃんにはきょーへーを渡さないからな!」
「ちょ!な、なんだって?!」
「俺のライバルはとーちゃんだ!」
「か、門田は渡さないぞ!」
と、本気で喧嘩し、かーちゃんに怒られたのは
静雄がとーちゃんの所に向かって数分後のことであった。
「何泣かしてんだよっ!!」
「ご、誤解だって!門田ぁぁぁぁ!!!」
おしまい☆