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３
消失ギルエリへの3つの恋のお題：
過去は過去、未来は未来/衝動に身を任せた/いびつな笑顔

【男女逆転注意】

＊＊＊

その日は意外なほど明確に訪れた。

彼女が、生涯を賭けて愛した妹に全てを明け渡し、
己を形作っていたプロイセンという輪郭を消す日。

残念なことに大人になってしまった俺と彼女は、
昔のように殴り合うことも涙することもなく、

日常の延長のように挨拶を交わす。

神聖ローマの時と違い過ぎるとこぼすと、
「過去は過去、未来は未来だ」とプロイセンは笑った。

せいせいしたような笑顔に無性に苛立つ。

せめて泣きながら旅立ってくれよ、
これから思い出す度に泣く事になる俺のために。

綺麗な作り笑いは俺が唯一嫌いな顔だから、衝動的に手が伸びた。

「国辞めて消えるくらいなら、一度くらい俺の嫁になれよ」
餞別に持ち込んだ花束を銃口のようにつきつける。

「馬鹿言うな」プロイセンの笑顔がいびつに歪む。

ノーと言わない、それが答えだ。

「未来は未来なんだろ」混ぜ返してやると、
花束を抱きしめた肩がひくりと泣いた。

【了】