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親愛なる部下へのプレゼント

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「夕飯できたわよー!今日はすずきのパイ包みよー!
 それとポテトサラダ!う~んついでに、トマトスープも!
 最後のデザートはみんなの大好きあま~いチョコレートケーキも作ってるから期待してね!」

子供たちの好きそうなものでずらりとそろえられたテーブルについた子供たちは、フォークとナイフを持っている。
いつだって、子供たちははらぺこだ。

「わーい!」

「おいしそう!」

「おねえちゃんが作る料理はいつも最高だ!」

「ケーキから先に食べたいな・・・ぼく。」

「だーめよ~。先にお食事からね!」

「ねぇ、今日はゼル兄ちゃんは来ないの?」

「ふむ、いい質問ね。ゼル兄ちゃんは今日は大切な予定がはいってんのよ。もしかして、今日はデートだったりして~!」

「あーーーアメリア姉ちゃんとね!いいな~らぶらぶ~!」

「アメリア姉ちゃんとも会いたいな~。」

「な~に大人の邪魔をしよーとしてんのこの子達は!
 いいじゃない。
 今日はこのお兄ちゃんがいるじゃない?
 ゼロスにみんな明日遊んでもらったらいいわ。」

「リナさん?」

「あのね、この兄ちゃんはね、時間なんか、まったく気にしないでいほどたーーーっぷりあるんだから!
 いーーーっぱい遊んでもらうといいわ。だから、あたしは明日は魔法薬の研究をしちゃう!」

「ええーーーこのお兄ちゃん怪しい格好してるんだもん!
 それに、リナ姉ちゃんを独り占めにする。」

「あはは。嫉妬しないの~!
 馬鹿なこといってないで食べるわよ。
 いっただきまーす!」

「あの・・・リナさん僕は・・・」

「何よ?あたしの作った料理が食べられないっていうの?」

すると、青年は少しだけ困った顔をした。

「分かってるわよ。魔族が食べなくてもいいってことぐらい。
 でも、人間のふりは魔族の中で一番あんたがうまいんでしょう?」




「それに、
 知ってる?
 どんな高級な料理を一人で食べたっても、おいしくないのよ?

 あたしの家のルールは、このテーブルについて一緒に食事を食べることができたら、
 立派な家族の一員なのよ!」



「いいじゃない?ゼロス。
 しばらく、ここに留まってあたしを手伝ってよ。
 世界滅亡作戦は何年先でも、できるでしょう?」

そういって、少女は青年にウインクをした。

お兄ちゃん!
いっぱい食べてね!
ねえちゃんの作った料理は天下一品だよ!
のこすなよ!


優しいまなざしを感じる。
暖かい子供たちの手。



青年はみんなが見守っている中、本来なら必要としていないはずのパンを手に取り口へ運んだ。
それが、彼が自由をもらって、後ちの初めての選択だった。



***



パリーン!

突如耳元でガラスの割れる音がして青年は正気に戻った。

はっとして顔を上げると、

そこはいつも見慣れた群狼の島の宮殿の女主人の玉座の下だった。

青年は上から金色の二つの相貌に、痛いくらい射抜かれていた。

豪奢な玉座に身を預け、片手には地のようなワインを持って。

彼女は見ていた。

「ゼラス様・・・僕は一体・・・」

「ふ。
 ゼロス。
 私がお前にくれてやったプレゼントはお前の胸に響いたか?」

「え?」

「お前は本当に愛する忠実な我がしもべだ。
 先日お前は私の命により、リナ=インバースえお殺めたであろう?
 あんなちっぽけな命にお前は醜く執着していたのを知っていたが、やはりお前はやりとげた。
 だから、私はお前に褒美をやろうと思ってな。

 夢の中だけでもと思ってな、お前に自由をやったのだ。

 ずいぶん・・・魔族であるのに優しい夢を見ていたな。




 なあ、お前の記憶の中の娘はかわいいな。」



「ゼラス様!」



「心配するな。
 この私がお前のことを手放すわけがなかろう。




 永遠にな。」



黄金の女主人は一瞬で青年のもとまで移動するとその胸に青年を抱いた。






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ゼロスの中でリナちゃんはきっとどんな状況下においても前向きに生きているイメージがあるような気がしてこの物語を書きました。最後は夢落ちで救いようがないですけれど。ダークですみません。でも、私が一番この話で伝えたいことは、家族になるってどういうことかな。と思い。私の意見を加えさせていただきました。