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ゆち@更新稀
ゆち@更新稀
novelistID. 3328
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あいして る

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「あいしてる」

男の声は静かだった。
午前2時を回っても、池袋は眠らない。
しかしその喧騒に掻き消されることなく、静雄の言葉は臨也の鼓膜に届いていた。

男の目は真剣だった。
諸”刃”の剣。言葉の通り、互いに武器を突きつけた状態のまま。
愛の告白というシュチュエーションには、相合わない。

「ねぇ、シズちゃん」

( 嗚呼 嗚呼 嗚呼 )

「すっごく、ムカつく」

( 失望 絶望 欠望 )

殴って、いい?
相手の返答を待つ気は、最初から無かった。
静雄の腹部に突きたてたままのナイフ。
からん、と音を立ててそれが地面に落ちるのと同時に、臨也は静雄に拳を向けていた。指の骨が、悲鳴を上げる。

静雄に、痛みは無かった。
しかしサングラス越しの双眸を、丸くした。
目の前の男が、こんなにも、感情を”顕”わにした姿を静雄は初めて見た。そう、初めて、始めて。

「ほんっと、無茶苦茶だよねぇシズちゃんは」

ほら、

「しないの?”仕返し”」

やってよ、

「その標識で俺の頭をかち割る?自動販売機を投げ付けてみる?それとも俺ごと交差点に投げ込む?それともさ、その手で俺の首でも絞めてみる?」

ねぇ、

「俺を殺してみせてよ」

相 合 逢 遭 遇 間 哀 シテル なら 

「ねぇ、シズちゃん」

アイ







の目に





し テ



るなら 


「折原臨也は、平和島静雄が、世界で一番嫌いです」

作品名:あいして る 作家名:ゆち@更新稀