【ノマカプAPH】World end.
世界の終わりが見てみたい
いつものごとく、まるで挨拶のひとつかのように彼女の口から零れでた破滅願望を、いつものごとく、手で水を掬うように拾った。
朝方から降り始めた雪が、椿咲く庭に真白を敷く。
その上に、どちらが真か見まごうほど相合う素足を重ねて魅せる彼女は、かく、小さな吐息を漏らした。
「ナターリヤさん」
冷えますから、此方に
再三申し出てみるものの、案の定、返事は無かった。
ふう、と溜め息を溢した。
火鉢の練炭を、ニ、三ずらすとぱちんぱちんと火の粉が散る。
「本田」
世界の終わりが、見たい
駄々子のように重ねられた言葉が、指の隙間から零れ堕ちる。
「それは、無理だと思いますよ」
「どうして」
羽織を小さな背中に被せる。床に触れた裸足、きぃんと痛んだ。
世界が終焉を迎えれば、
「貴女も、共に終わるでしょう?」
結晶のようにきらきらと光る睫毛を、一度ぱさり、閉じてから、彼女は冷たい手のひらを重ねて此方を見上げた。そのまま下に引っ張られるがままに、かがむ。
氷の華に、唇が触れた。
世界が終わったら、
「お前も終わるのか」
ええ、
「私も、終わります」
寒い、
猫のように身体をすりよせて瞼を閉じる。
「寝るなら、部屋に入りましょう」
「ああ、わかった」
じゃあ、連れてけ
言葉だけ、自分から動こうともしない彼女の肩に、一度溜息を零してから、手を添えた。
はじまりへ還りませんか終わりを愛せません か?
作品名:【ノマカプAPH】World end. 作家名:ゆち@更新稀