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【どうぶつの森】さくら珈琲

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「ただいまー!」

お昼過ぎ、三人が帰ってきた。
帰ってくるなり、リクが言った。

「なぁなぁ! さくらとみしらぬネコってキ……」

 すかさず後ろからとまとが現れると、思いっきり音を立ててリクをひっぱたいた。

「バカ! 野蛮人! デリカシーなし!!」

 ヴィスの方は、ニコニコと手を振るみしらぬネコさんに一瞥をやると、すぐに自分の部屋へ戻ってしまった。

「相変わらず嫌われてるなぁ」

 あんまりショックではなさそうに、あっけらかんとみしらぬネコさんは言う。さすがにこれはわたしでもわかる。ヴィスはみしらぬネコさんのことを、何故かよく思っていないらしい。わたしにも、こればかりはどうしていいかわからない。
 とまとは昨晩のことを話した。わたしの予想通り、やっぱり三人それぞれ親しい友達の家で楽しくお泊りをしていたらしい。
 そして、彼女はわたしたちのことをからかった。

「こうやって見ると、お二人さん夫婦みたいですねぇ〜」

 わたしは「待って」と「違う」が混ざった謎の言葉が口から溢れる。
 みしらぬネコさんは「いいね、このまま結婚しちゃおうか!」と軽口を叩いたが、わたしの方は変な汗が噴出して止まらなくなった。
 午後はとまとたちも交えてゲームをしたりおしゃべりをしたり、楽しく過ごした。夕方頃になると、みしらぬネコさんは何事もないように帰って行った。
 ほんとにいつもと変わらない感じで、なんだかまた昨夜のことが夢だったような気がした。
 でも、わたしは忘れない。
 あの話を、みしらぬネコさんの言葉を、あの綺麗な月を。全部、何もかも。
 そしてとまとは、わたしにそっと耳打ちをした。

「で、どうだったんですぅ? とうとう告白されちゃったんですかぁ?」
―――なっ!?

 とまとはとても楽しそうで、くすくす笑いが止まらないみたいだった。

「だって、昨日と明らかに二人の空気が違うんですもーん。なんだか、すごい親密というか、ミステリアスというか。
 まるで秘密を共有してるみたい。ねぇ、何かあったんでしょぉ?」

 鋭い。とまとらしくない言動に、わたしも言葉が出てこなかった。
 秘密を共有してるみたい、か。
 まさに、その通りだ。


 けれど、それからわたしとみしらぬネコさんはやっぱり友だちだった。
 特別な友だちだった。
 相変わらずわたしたちは「ハトの巣」でおしゃべりをして、たまには外に出かけたりして、時には前と同じように泊まりに来てくれて。
 時々手をつないで、優しいまなざしを向けてくれて。
 おそらく、この関係を恋人同士と呼ぶのかもしれない。
 こんな小さな村だ。ピースとリリアンみたいに、すぐにわたしたちの関係は広まった。冷やかされることも増えたけれど、わたしは幸せだった。
 だってわたしには彼がいる。
 わたしを好きでいてくれる彼がいる。どうして幸せじゃないなんて思える?
 ある晩、一緒に星を見ていた夜、彼は言ったものだった。

「オレさ、今世界で一番幸せ。
 きっと前みたいに流れ星を見つけても、もう何も願うことなんてないや」

 普段の世間話から一片を切り取ったような何気ない口調だったけれど、わたしを視線の行き場に困るくらい真っ赤にさせるにはそれで充分だった。

「あははは! なーんてね」

 沈黙のこの空気を読んでか、彼は笑い飛ばす。
 けれど、わたしはすぐに返事をした。

―――わたし、どこにも行かないから。

 誰かは、わたしたちを不安定な関係と呼ぶのかもしれない。
 でも、それでもいいんだ
 この満ち足りた気持ち、絶対忘れない。そう、思う。