心臓=壊れる
ふにふにふにふにふにふにふにもみもみ…
先程から数十分以上先輩が俺の耳から手を離してくれない。
まあ耳を触られるくらいは百歩譲って良しとしよう。恥ずかしいが。
でもそれ先輩の膝の上である必要はないと思う。
隣合わせでも別に問題ないはずだ…むしろ隣合わせにして欲しい。
距離が近いせいもあって先輩が話すたびに息が耳にかかって擽ったい。
さっきから心臓がドキドキしているのも先輩にバレているだろう。
ちらちらと先輩を見ているが気づいてくれそうもない…。
駄目だ。
意識してしまうと、とてつもなく恥ずかしい。
我慢の限界だ。
「あの…不知火先輩…」
勇気を出しておずおずと聞いてみた。
膝の上なのでどうしても上目遣い、
きっと先輩からみたらどうしようもなく情けない顔しているんだろう。
「ん、どうした」
うれしそうな顔をしながら先輩が見てくる。
そんな顔しないで下さい…と言いたいが我慢。
もともと赤かった顔がより一層熱を持つのを感じる。
あつい。
沸騰しそうだ。
「いっいいいつまでこのままなんでしょうか」
しかしこの際顔が赤でも青でも関係ない。
この状態がいつまでも続けば俺の心臓が壊れてしまう。
「そうだなあ…俺が飽きるまで、か」
そう言ってニヤリと笑う先輩により一層強く抱きしめられた。
だから!心臓壊れますって!
「…」
「はは。そんな顔するな」
「そんな顔ってどういう顔ですか。」
「どんな顔してると思う?」
「俺は先輩に比べたら子どもです…」
「子ども、か。」
「もう!いいんです!俺は不知火先輩みたいなダンディーでちゃぶ台ひっくり返すような親父になる予定なんで!」
「七海は可愛いなあ」
「意味がわからないです!わっちょっやめてください!どうせ先輩からしたらみんな可愛いんでしょう!」