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奥村雪男の愛情

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春休みに入ったばかりの正十字学園の校庭に、祓魔塾の生徒七人と教師二人が立っていた。
いや、生徒七人と教師一人と元教師一人というべきだろう。
祓魔塾で魔法円・印章術と剣技の授業を担当していた霧隠シュラが、正十字騎士團ヴァチカン本部に呼びもどされ、日本を離れることになったのだ。
今日、旅立つ。
しかし、シュラが持っているのは小さなボストンバッグだけだ。それ以外の荷物は先に送ったらしい。
服装はいつもと変わりない。まだ肌寒いのでコートを羽織っているが、その下は胸元が大きく開いたシャツにデニムのショートパンツという格好だ。
「霧隠先生、お世話になりました……!」
杜山しえみは眼に涙を浮かべて言うと、頭を深く下げた。
その隣で、神木出雲は堅い表情で口を引き結んでいる。なにかをこらえているのかもしれない。
鋭い目つきをした勝呂竜士はそっぽを向いている。もちろん、シュラを嫌っているからではないはずだ。
三輪子猫丸は神妙な顔をしていて、それとは対照的に、志摩廉造は陽気に笑っている。
少し離れたところに立っている宝は、左手にはめているぬいぐるみと向かい合い、我関せずといった様子である。
奥村燐は時折しょっぱいものでも食べたような表情をしている。どんな顔をしていればいいのかわからないのだろう。
そして、奥村雪男は一歩まえに進み出た。
祓魔師のコートをきっちりと着て、首もとには白いシャツの襟とネクタイがのぞいている。
手には花束を持っている。
ここにいる全員で購入した花束だ。
もちろんシュラに渡す花束である。
皆の推薦を受けて、雪男がシュラに花束を渡すことになった。
「シュラさん」
雪男はニコッとシュラに笑いかけた。






作品名:奥村雪男の愛情 作家名:hujio