すみのえの
その場所へ行くのを、誰にも知られぬように。
胸をはずませながらも、周りにそれを悟られぬように。
早く会いたくて廊下を走ってしまいそうだけれど、それではバレてしまうかもしれない。
それに廊下を走るなんて、あの人が絶対許さない。
そうして、いつものようにあの扉を開ける。
「雲雀さんっ、会いにきましたよ」
そこで、綱吉の目が覚めた。
外は暗く、夜明けにはまだ程遠かった。
布団をかぶりながら、綱吉は苦笑した。
「なんで夢の中までこそこそしてるかなぁ・・・」
すみのえの きしによるなみ よるさへや
ゆめのかよひぢ ひとめよくらむ
(いつもこっそりとあなたの所へ通っているのですが、
どうして夢の中でも人目を避けるのでしょうね?)