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フレンドボーイ42
フレンドボーイ42
novelistID. 608
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 まあ結局俺はヴィア・ドロローサの上を歩いているだけなんだ。十字架背負って破滅だけの黒い部屋の中の小国、属国への道を歩く。願わくばせめてアメリカ側に取り込まれるといいな。中国に取り込まれたら中国ごと地獄に一蓮托生だよ。韓国に取り込まれたら馬鹿にされて一生いばらの道だわ。あの国は日本が大っきらいなんだから。
 売国発言をしてみんなに好かれるなら俺はいつも、いつだって売国発言をしようじゃないか。自分の本当の気持ちを隠して八方美人。そしてみんなに好かれてハッピーハッピー。…そんなにうまくいくものか。まず話しかけられやしないのだから。…そうさ、本当はほしいのさ。可愛くて優しくて、俺のことを思ってくれる女性が。そんな人がいればいいなあ、なんて思うけれど、思ってもこの世の中には自分の利己的欲求だけを望むだ立体しか住んでいないじゃないか。まっとうな女性は駆逐されてダメ男のもとに嫁いで自殺するというパターンさ。
 きっとおれはニーチェの仲間だな。きっと広場で叫んでみんなに通報されて、知らない身寄りに邪険にされながらの寝たきり生活、そしてむなしく人生を終える。そんな人生いやだよ。ならば大人しく身長伸ばそうか。自分で自分の人生に幕を下ろすとするか、だけど俺の死体はどうなるのだろうか。このマンションどっちみち入居者がいないから、俺が家賃を払わなくなっても追い出されるはずもない。そして稀になんかふざけた野郎がここに住みたいとか言い出して、俺の部屋を開けようとしたら死後5,6年した死体が出てくるのか。で、俺のことを知らない親戚連中が「いい人でした」「なんであの人が死んじゃったの…」とか嘘っぱち言って、嘘泣きをして、その日の新聞の隅っこに乗るのか。誰も悲しまない。誰も苦しまない。せめて電車内で毒物を作って死ぬか。埼京線なら巻き添えにして死ねるだろ。痴漢が多いくらいなんだから。そしたら(俺についてじゃないが)多くの人が悲しむぞ。
 …駄目だ、阿呆なことしか思いつかない。どうしたらいいのだろう。もう何も考えたくない。このまま飛び降りちまうか。…いや、いたそうだな。
 こんなダメ人間なのに、人に愛されたいなんて虫がよすぎるのかもしれないな。もう俺は誰も好いてくれやしないさ。それを知ってから俺は家に合った漫画や小説の類をすべて焼いたのだから。全世界の人は俺を愛してくれないさ。俺はそういう星のもとに生まれてきたんだ。無償の神の愛、アガペーすらないんだよ。慈悲?仏教はそういう言葉をよくいうが、結局色即是空なんだろう?ならば慈悲もジリ貧もくそも糸瓜もあったもんじゃない。それで生きていけるなら俺はこんなに死にたい死にたい言わねえって。しかもこの年で死にたいなって言うなんて痛い子認定確定だな。俺は大人しくしていなければならないんだ。変人が常識を持つとかよくわからんが。
 どうすれば人に好かれるんだ。誰か俺に火を貸せよ。今から俺はこの部屋を燃やしてやるよ。灯油でも買いに行こうか。…駄目だ。もう三月だ。灯油を取り扱う店に言っても、十中八九ばれるな。なにをしようとしているかなんて。3月になって寒い寒い言っている奴なんて俺みたいな変人にはなってはいないさ。チャッカマンじゃ部屋の壁が焦げる程度だろう。
 どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。どうする。
 解決の糸口なんかない。たった一つのいいこともしたことない俺は蜘蛛の糸を垂らしてもらえないのさ。カンダタはもったいないな。いきなりたれてきた蜘蛛の糸が切れるはずがないだろ。地獄にたれてくるような糸だぞ?現世界の蜘蛛の糸と勘違いするなよ。
 どうもこの世界は忌まわしい。
 どうしてこの世界に俺は生を受けたのか?どうして俺はこんな場所でくすぶって隔離されていなければならない?ここは、そうか、誰も看てくれる人のいないサナトリウム。遠藤周作の復活病院。劇団が「泣かないで」という劇にしていて、まだ若かりし頃は見たことがある。劇が好きな先輩が身に行こうといって学校のクラブのメンバーで見に言ったのだ。あのようにどのみち苦難しか伴わないのだ。受け入れて前向きに生きるしかない。でも俺にはあの主人公のように前向きに生きる自信もない。あったら今頃就活してるよ。職安にでも行っているよ。
 人生は二度までだと?だったらそのうちの一度がこれなんて受け入れられるか。ふざけているのかこの社会は。もう俺は殺人鬼にでもなるしかないのか。もういやだ。もういやだ。目が回る。らりったって言うのはこういうことを言うんだね。成程わかりました。死んでしまうって、このまま。

 ふいにベルが鳴る。
 「…あたしがいるよ、気づいて」
 誰だ?そう思って開くと、あいつの顔があった。
作品名:I'm not supported. 作家名:フレンドボーイ42