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はろ☆どき
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novelistID. 27279
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ロイエドメモ詰め合わせ

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【エドワードさんがセーターを着ている話】
エドワードがゆったりとした服装をしているのが好きだった。

右腕が機械鎧の頃はそれを人目に触れさせないためもあってか、夏でもかっちりと黒の上着を着こんでいたし、宿願を果たしてから―自分と付き合うようになってからも初めのうち、特に二人で会う時などは比較的きちんとした格好をしていた。
女の子じゃないからデートでめかしこむでもなかったが、日頃は服装に拘らない彼なりの誠意だとわかっていたので、それはそれでとても好ましかったのだけれど。
今彼はうちのリビングのソファーで寛いだ様子で分厚い本を読み耽っている。ざっくりとしたセーターにコーデュロイのパンツが寒くなってきてからの定番の服装だ。特に出かける予定でもなくうちで過ごすために訪れる時は、以前と比べて随分ラフな格好をするようになった。
それが会うことにおざなりになったということではなく、自分に対して気持ちがほどけていく様子を見るようで。

ロイはエドワードがゆったりとした服装をしているのが好きだった。
2011.12.5 

**********

【無自覚に癒されたい大人と癒したい子供】
時々全てを投げ出してしまいたいと思うこともある。誰も自分を知らない所に行きたいなどと思ってしまう。
子供にはいつも前に進めと言っているけれど。
とりあえず今なら目の前の子供を話し相手に道連れにしてもいいな。
・・・ん?

大人はみんな、立ち止まるな、前へ進めと言うけれど。
自分こそ立ち止まるどころかどこかへ行ってしまいそうな顔をしてるくせによくいう。
子供だって大人を癒してやりたいと思うことだってあるんだ・・・あ・・れ・・・?
もちろん許可証とかもらえないと困るからだぞ。
しょ、しょーがないから息抜きの散歩くらい付き合ってやってもいいけど、うん。
2011.11.27

**********

【記憶を喪ったロイの話】
「記憶を喪ったってあいつのいけすかなさは変わりやしないだろう。むしろわからないのをいいことに我がまま言いたい放題なんじゃねーの」

そんなエドワードの予想に反して、記憶を喪ったロイは寡黙で沈着だった。
日頃の飄々として人をくったような態度が殺がれ静かに座している様子に、周りからはそれが本来の―真面目に仕事をしている時のような―姿として違和感なく受け入れられているようだった。
しかしエドワード対する丁重で少しよそよそしい態度に、いつものいけすかない物言いや時おり見せる慈愛の眼差し、二人の時にだけ触れてくる仕草こそが見せかけだったのだと言われているようで、ひどく落ち着かない気持ちにさせられた。

ロイは常に寛ぐことなく気を張っている様子だった。あれでは神経をすり減らしてしまうだろう。睡眠もあまり取れていないようだ。もしかしたら戦争時に身についた習性が記憶のない今もそうさせているのだろうか。周りは全て敵と思え、と。だとしたらなんて悲しいことなのだろう。

できることならずっと側について少しでも気持ちを癒してやりたいとエドワードは思ったが、それは叶わないことだった。なにしろ自分達の関係は誰も知らないのだ 。弟のアルフォンスでさえ。
日頃から反りが合わないとはばからず公言している自分に、看護の役など回ってくるはずもなく、人前では照れ隠しにかみついたり怒ったりばかりしていた自分を心底後悔していた。

できる限りの時間を当然のように付き添うホークアイを見る度に、エドワードはつきりと心臓が痛むのを感じた。立場だけではなく親身に接する彼女に少しずつ信頼をおいて話をする様子に、例えようもなく寂しさを覚えた。
そこに立つ資格は自分にはないのだと。あの笑顔はもう自分には二度と向けられないのではないかと。

記憶を喪ったロイは予想に反して寡黙で沈着で―その姿は人知れずエドワードを悲しい気持ちにさせたのだった。
2011.10.7

**********

【七夕になぞらえて】
「一年に一回しか会えないとかあり得ねえ。会いたきゃ川渡りゃいいだけじゃんか」
暑いのも湿気も弱い鋼の手足を持つ子供が珍しく執務室に入り浸っているのに(もちろん涼しいから、それだけの理由だ)、異国の伝説を話してやると憤慨したように言い募ってきた。
「泳げないならいかだ作るとかさ」
「流れが早いと流されるんじゃないか?」
「なら橋作るとか水塞き止めるとか」
「錬金術のない国だから難しいんだろう」
「とにかく!渡ろうとする努力をしないのが納得いかねえ!」
ああなんて眩しいんだろうね君は。
「そんな風に」
「ん?」
「そうまでして君に会いたいと思ってもらえる人は幸せだね」
「へ??」
意味がわからず溢れそうなほど瞳を見開く子供から目をそらし窓を見やると、ああ降りそうだなとひとりごちる。
話そらすな!とぎゃんぎゃん吠えるのをよそに雨粒を含んだ空を見上げた。
こんな風にどこぞの恋人同士の会瀬が気になるくらいならいっそ・・・
「雨が降ってしまえばいい」
2011.7.4

**********

【とある雨予報の日に】
「今日は雨か・・・」
目覚めたエドワードはカーテンを少し開けると呟いた。
垂れ込める雲がいつもは厳しい日差しを遮っている。
この時期は鋼の手足を持った己にはじっとしていてもじわりと汗ばむ湿気の方がまだマシだった。
それに雨の日は少しだけあの男が優しくなるから・・・だったらいっそ雨よ降れ。
2011.7.7

**********

【なんでかがっつり四つん這いな話】

なんでこんなことになっているのか―

ロイ・マスタングは四つん這いのまま深いため息をついた。
そう彼はいま四つん這いだった。ここが自宅のリビングで、一人暮しにしては大きいソファーの上なのはともかくとしてだ。
こともあろうに自分の体の下に鋼の錬金術師を組敷いて。
いったいなんでこうなった?
「アンタがわけわかんないこと言い始めたからだろうが!」
下から豆が騒いでいる。
頭の中で自問自答していたはずが、どうやら声に出していたようだ。
改めてまじまじと自分の下にいる子供を眺めると、やはり先ほどと同じ結論が口をついて出た。
だってだから、
「やっぱり、君が可愛いのがいけない」
その瞬間、エドワードがぐったりと脱力したのがわかった。
うっとりしてとかではなく、疲労で全身がぐったり力が抜けたという表現が正に的確だった。
力なく仰向けで目を閉じて、そして少し開いた唇は誘っているとしか思えず、その誘惑に逆らおうなどという愚行をロイ・マスタングが犯すはずはなかった。