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愛の告白

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部活帰り。時間は遅く、空は暗いが星と月とで存外明るい夜道。
「お前の為なら俺、死んだって構わへんで」
本来の意味とは異なるかもしれないが、先人の言葉を借りて気持ちを伝えようと試みた。
この思いは届くだろうか。



「は?何言うとんの。」
緩く瞬いた後、怪訝そうに問う謙也に落胆半分、安堵半分。
元ネタは文豪の日本語訳だけど微妙に原型留めていないし、行き過ぎた友情にとれない事もないし、そもそもそれ自体を知らない可能性もある。
そこを踏まえてメジャーな方を避けてみたのだから伝わらない事を嘆くべきではない。むしろ逃げた自分の臆病さ加減に呆れるべきだ。
だって想いが通じていれば嬉しいが、拒絶されたら立ち直れない。ないとは思うが「気持ち悪い」と一線を引かれてしまったら本当の意味で死にたくなる。
だからここは笑って誤魔化すのが得策だろう。


「俺の為だろうと何だろうと、白石が死ぬとか嫌やわ。」
真面目な顔で返されて嬉しくないわけがない。それが親友としての意味であっても。
「謙也俺のこと大好きやんなぁ。」
茶化しながら絡めば、微苦笑を浮かべて受け入れられた。嬉しい。
「なぁ白石、」
視線だけ空へむけた謙也が見ているのは明るい月で、

「今日は月が綺麗やね。」

笑みを刻む口元は普段とは異なり心臓を乱すもので。

「ところで俺は好きなやつとは長く一緒に居たいと思うんやけど。」
お前は違うん?と猫のように腕の中から抜け出し、月を背負って笑う彼に
「俺も好きなやつとは長く一緒に居たい派です。」

なんで敬語やねん、とけらけら笑う君を捕まえたら今度こそきちんと伝えよう。
君といると世界が輝いて何倍も美しい。幸せすぎて息が詰まって死んでしまいそうだし、このまま時間を止めてしまいたい。
それ位君を愛してる。
作品名:愛の告白 作家名:さも