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伝えたい言葉

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「好きって言葉と愛してるって言葉はどっちの方が強い愛情を感じることが出来るのだろうか。」
nは唐突にそんなことを言った。
トシマを出てからいろんなことを質問されてきたが、こんな質問は初めてだ。
「さぁ?どっちも一緒だろ?」
アキラはそういう感情についてあまりよく知らない。
nよりはまだたくさんのことを知っているとはいえこればかりは答えようがなかった。
「一緒ではない。」
アキラは不思議そうにnを見つめる。
「道を過ぎ行く男女はお互いに好きだと言う。だが子供を連れた親は子供に愛してると言う。どちらも人に好意を伝える言葉であるにも関わらず。」
そう言われればそうだ。でもそれならば子供が親に言葉をかける時は大好きだと言うし、結婚を前提に交際している人は皆愛していると言う。
そう考えていくと永遠に考えがまとまらない気がする。
アキラはわしゃわしゃと自分の頭をかき混ぜる。
「お前がそんなことを聞くからわけわかんなくなっただろ。」
チラ、とnを伺うと、何か思い悩んでいるようだった。
n、と声をかけようとした時にふ、とnはアキラを見た。
「俺は、自分の感情をどうやってアキラに伝えればいいのか分からない。」
そう言ってnは俯く。
「この感情をどの言葉を使えば全部伝えきれるのかわからない。」
アキラはしばらく呆然と見ていたが、ぷっと突然吹き出した。
nは驚いたようにアキラを見つめる。
笑いが収まると、アキラはnを抱きしめた。
「n、全部の気持ちを相手に伝えられる言葉なんて世界中どこを探したってないんだ。」
そう言いいながらアキラはnの頭を優しく撫でる。
「言葉だけじゃどうしても全部伝えきることは出来ないんだ。だから、態度で示さなきゃいけない。気持ちを言ってこうやって頭を撫でたり、抱き合ったり、そうしてやっと相手にちゃんと伝わるんだ。」
nはアキラの腕の中から見上げるようにしてアキラを見る。
「nが俺に伝えたい気持ちがあるのならこれから言葉と態度で示してくれればいい。俺はnの気持ちを少しずつ知っていくから。」
頭を撫でる手が温かくて気持ちいい。
nはそっとアキラから離れると、今度はアキラを抱きしめ頭を撫でる。
そして耳元に口を近づけてささやいた。
「アキラが好きだ、愛してる。」
アキラがピク、と体を震わせて徐々に体温が上がっていくのをnは感じた。
それが嬉しくて同時にこれが気持ちを伝えることなんだとnは感じた。
「俺も好き、だぞ。」
そう言いながら恐る恐る背中に手を回してくるアキラが愛しく感じられた。

好きと愛してる、の言葉の違いも思いの重さもわからなかったけれど、もうどうでもよかった。
これから二人で過ごす時間の中でゆっくりとお互いを伝えあっていけばいい。
そして、いつかアキラを思うこの気持ちにあった言葉を自分で作ってみるのもいいかもしれないと思った。
作品名:伝えたい言葉 作家名:にょにょ