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おれのおとうと

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こんにちは。おれのなまえはしまきんぞうです。ろくさいです。
きょうは、おれのおとうとのはなしをします。


***おれのおとうと***


「ほーら廉造、『柔兄』って呼んでみぃ」
「れんぞうれんぞう、『金兄』ってよぶんやで!ほら」
「う…ふぇぇ…」
「こら金造、廉造を泣かすんじゃねえぞー」
「お、おれだけやないてー」
「うええええん」
「こら、泣かすなて言うてるやろ金造!」
「うっ…はーい」

れんぞうはおれのおとうと。
1さいとちょっとなんやけど、まだことばをしゃべれへん。
でもこのあいだおとんに「もうすぐ言葉をしゃべれるようになる」って
きいたんで、じゅうにいといっしょに、どっちが先に
なまえをよんでもらえるかというしょうぶをしてるんやけど……

「ほら、俺ら大人は大掃除で忙しいから、柔造と金造で廉造の相手してやってぇな」
「はーい」
「ほな大人しゅうしとるんやぞ」
「はいはーい、わかっとるー」

れんぞーはもう立って歩けるのに、あー、ともうー、とも言うてくれへん。

「なぁれんぞうちゃん、『金兄』っていうんやで。」
「……」
「何や『れんぞうちゃん』て。やっぱ『柔兄』やろ?」
「……ぅ」
「なぁれんぞう、金兄やよー、きんにいきんにいきんにいほれ言うてみ」
「…」

なんとかしゃべらせようとするけど、にげられてしまう。

「あーごめんな廉造、ほれほれ金造の近くにいると馬鹿がうつるでー」
「なんやそれ!」

じゅうにいがだっこすると、れんぞーはすぐになきやむ。

「なんで柔兄がだっこするとすぐ泣きやむんやろ、おれじゃいっつも泣かれるんに。」
「そら金造はだっこのしかたも下手やし、だいたいうるさくしすぎなんやで。もうちょっとおとなしくせんと。」
「もう、れんぞうのお兄ちゃんは柔兄とだけちゃうで。はよ『金兄』って呼んでもらいたいなぁ」
「金造、あせってもだめやぞ。こういうんはしんぼうせんと」

じゅうにいはよゆうで言ってるみたいにみえるけど、ほんとうは大人やおれの
いないところで自分のなまえをよんでもらおうとしてしっぱいしてるのを、おれはしっている。
(おこったじゅうにいはこわいから言わないけど)

「あーもう、なんかなぁ!……ってて、うっわわわぁ」

ころんでおもいっきり後ろへたおれて、せなかのほうに
たくさんつんであったはこをくずしてしまった。
上の方にあったちっちゃいはこが、かおにぶつかっていたい。

「いっててぇ……」
「こらぁ、なにしとんのや!!また金造か!!」
「うわあ、わざとやないて、かんにんしてやぁー!」
「こら逃げるな金造ー!!」

大声におどろいたれんぞーがなきだした。

「ふぇ…ぅ…ぅうえええええん」
「あーあまた泣かしてー」
「これ金造!」「金造!」
「金造!反省せえ!」

「うー、ごめんなさい…」

おれが下をむいてると、じゅうにいがあわてておれをよんだ。

「なんや柔兄、」
「れんぞうが、なんかしゃべってん!」
「ええ!?」

れんぞうのほうをむくと、口をもぐもぐしてなにか言おうとしていた。

「ん…ぅ、」
「れんぞー!なんや!」
「きんぞう…」
「え」
「うー、きんぞう!」

ハッとしてあたまを思いっきりよこにふる。今、れんぞうなんて言うた…?

「あはは、なんや金造はよくおこられて名前呼ばれるから、廉造も覚えて
しもたんやろなぁ……て、金造、落ち着け!」
「やって、このアホ!兄貴をよびすてにするとはエエどきょうやで!」
「あ、待てや!」

なんとかじゅうにいのうでをすりぬけて、れんぞーのおでこにデコピンをかましてやる。

「ふええええん」
「コラ金造、廉造を泣かしたらアカンやろ」
「ふん、こんくらいで泣いてるような男やあかんわ」

なあれんぞう、そんなんで泣いてたらあかんで!

おまえがいつかこまることがおきてもだいじょうぶなように、りっぱな男に
なるように、おれがだいじなことを、ちゃんとおしえたるんやから。

おまえはおれの、だいじなおとうとなんやからな!
作品名:おれのおとうと 作家名:よたろー