雪あそび
「雪だね」
窓辺で目を輝かせる佐久間と、外に広がる雪景色を見て、納得したように深々と頷く理一。そんな二人にこたつの中から健二と侘助がそれぞれ声をかけた。
「それの何が楽しいんだ」
「寒いだけじゃないですか…」
両手を深くまで上掛けの中に突っ込み、絶対に動かないぞという姿勢だ。
窓辺の二人は振り向いて、それから顔を見合わせる。
「かまくらとか作りたくなるじゃないですか。ねぇ?」
「ああ、それ、中で餅とか干物とか焼くと地味に盛り上がるよ」
こたつの中から呆れた声が返ってくる。
「理一さん、飲むの前提ですよね」
「かまくらとか、そんなもん作る体力はねぇ」
窓辺の二人組は目だけで合図をすると、同時にこたつ組へと飛びかかった。
「ほらほら、健二、行くぞ!」
「侘助も立って」
「うわなにをするやめろ馬鹿野郎!」
「ちょっと佐久間痛い!痛いって!」
実力行使でこたつから引きずりだされ、じたばたと暴れながら文句を言う。
けれども、足先まで外へ出されてしまえば、抵抗に意味はない。
「もう、無茶苦茶するなぁ」
「いいじゃん。東京じゃ味わえないんだ。楽しまなきゃ損だって」
「俺は楽しみ飽きた」
「いや、お前は昔からそういう楽しみ方には参加しなかっただろ」
結局言い合いながら玄関へ回り、全員で連れ立って外へ出た。