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末っ子サンジ①

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「コック見つけてきたぞ。」




そう言うルフィの後ろからちょこんと顔を出したのは誰がどう見ても。
『子供』だった。



それはこのメリー号のクルーが待ちに待っていたもの。
航海を始めてから今までずっと探してきた。
だが、コイツだ!!という人物にはなかなか出会えなかった。
いくらお宝が手に入ろうが、いくら金が手に入ろうが、そのほとんどが食費にぶっとんでしまう。

この船には胃袋モンスターが居るからだ。

節約節約の日々、どうにか食費を抑えたいがこの船にはコックが居ない。
簡単な調理をだけで食べれるものを買い込んだりしているとおのずと財布は空っぽに。
料理の腕を磨けば良いのだが、この船は呪われているのか問題ばかり。
身を守る術を覚えていくので精一杯なのだ。


そんな日々にもう限界を感じたナミがとうとうキレた。


今まで、航海士として忙しくしながら食事作りを頑張ってきたのだが、
いくらお金を貯めても、ぶんどっても、貯まらない。
そのことがかなりのストレスだったようだ。


「いい、ルフィ。よく聞きなさい。
コックを探してくるのよ。この船の新しいクルーとして。それまでアンタの食事(肉)はナシよ!!!!」

ルフィはそれはもう必死に探し回った。
その分問題も多く持って帰ってきた。
それは言うまでもなく道のど真ん中で大声で「コックは居ないかーー!!」と叫べば当然、だ。

そうして逃げ惑うルフィに隠れ場所を与えた少年。
その少年は自分をコックだと言った。

ルフィは特に疑いもせず。
もちろんこう言った


「お前うちの船のコックやらねーか?」

少年の答えは、


「やる。」




そうして連れてきた、いや持ち帰った、いや連れ去った疑惑の少年は。
皆の前に立ちペコリとお辞儀をした。

「よろしくお願いします。」

「こちらこそよろしくお願・・・って!!!!!!」

「「「「無理に決まってんだろーが!!!!!」」」」

まともなクルー達が一斉にツッコむ。
一瞬あまりにも堂々とコックとして子供を紹介するし、
その子供も子供でやる気だから納得しかけたじゃねーーかとウソップが怒鳴る。

「どうした?」

「どうしたじゃないわよ!!!こんな子供乗せられるわけないじゃないっ!!!」

「ルフィ、さすがにその子が危険だわ。」

「守ればいいじゃねーか。」

「戦力にならない奴は足手まといだ。」

「・・・・・そっそうだ。」

「俺も危ないと思う。」


「「「「「反対だ。」」」」」


全員の意見が一致した。
ルフィのことは信頼しているし、基本は従う。
だが、今回ばかりは駄目だと皆が口を揃えて言った。

ルフィもルフィでやっと見つけたコックを逃すまいと言い返す。
そんなやりとりを間で見ていた少年は顔を俯ける。


「俺・・・降りた方が、良いのか?」

「いや、ここに居ろ。」

「ルフィ黙ってなさい。
ごめんなさい、確かに私達はコックを探していたけど。
この船はただの船じゃない海賊船なのよ、だから危険も多いの。
だからあたなは連れて行けないわ。お家に帰りなさい。」

「ナミ!!!コイツは絶対連れてくぞ!!!!!」

ナミはしゃがみこんで少年に話しかける。
それを邪魔しようとするルフィをゾロとロビンとウソップが抑えていた。


「分かってくれたかしら?」

「・・・・・・無い。」

「なぁに?」

「・・・家無い。」

「・・・え?」


ナミはすくっと立ち上がりルフィの首根っこをふん捕まえて船の端に連行した。
そしてその周りにクルー達も集まる。
そして小声で緊急会議が始まった。

「ちょっとどういうことよ。あんた何したのよ!!」

「まさか家壊してまで・・・」

「ご両親はどうしたのかしら・・・」

「殺っちまったのか・・」

「ルフィ・・・・」

「お前等、俺をなんだと思ってるんだ。」

「じゃあ何で家が無いのよ。」

「親は居ねぇ。じじぃが育ててくれたって言ってたぞ。」

「親は居ないのね・・・」

「そのじじぃも死んで、追い出されたらしい。」

「「「「「・・・・・・・。」」」」」

「だから俺達が家族になるんだ。」

「「「「・・!!」」」」

「・・・確かに同情するような境遇だが、乗せるわけにはいかねぇ。」

「・・ゾロ。」

「怖い目に合わせるぞ。」

「・・そうよね。」

「でも行くところねーんだろ?」




「俺・・・・」


「「「「「「・・・!!!??」」」」」」


こそこそと話し合っていたルフィ達に少年はいきなり声をかけてきた。

頑張る。
料理も、戦いも、全部。
だから居たい。
オールブルーに行きたい。

お願いします。



「オールブルー?」

誰も、下手に返答出来ずに困っていると、ロビンが話しかけた。
オールブルーって何かしら?
その顔は何かを知らないという顔ではなかったけれど。


「・・オールブルーは幻の海なんだ。じじぃの夢・・
世界中の海の魚が居るんだ。コックの憧れの場所。」

今までは緊張しているのか、
つっかえてばかりだった少年が顔を上げ、まっすぐにロビンを見て言った。
そして初めて笑顔を見せた。


「やだわ・・・もう、私降参。」

「俺もだ。」

「俺も。」

「私ももちろん歓迎するわ。」

「・・・・ったく。」


皆が降参といって手を上げる。
確かに、少し不安もあったが、なぜだか許してしまった。


「やったぁーーーー!!!新しい仲間だっ!!!」

皆の賛成を聞いてルフィが大喜びする。
そしてルフィが少年を抱きしめるとまた少年は笑った。

その笑顔にこの答えで良かったんだと納得する。



麦わら一味に新たな仲間が加わった。
小さいコック、末っ子サンジ。

作品名:末っ子サンジ① 作家名:おこた