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大人の事情、子供の純粋

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「・・・っ!?離せよバニーッ!」

「嫌です。」

そっけなく返すと、更にあせったように虎徹は手足をばたつかせた。
だが、今のバーナビーにとってそれは何の障害にもならず・・・

「あんまり五月蝿いとそこの柱に吊るして帰りますよ?」
「ッ!!?」

ただ冷たい言葉だけが出た。
ーーバーナビーは冷たい外見とは裏腹に内心あせっていた。


事の始まりは、虎徹の一言だった。

「なぁ、バニー。」

一緒にのみに行こう、と誘われ行ったはいいものの、結局飲みつぶれた虎徹を送るため車の運転をしていたバーナビーは、面倒くさそうに相槌を打った。

「なんですか?」
「俺、今思ったんだけどよ・・・お前んちに行ったことなくね??」
「はぁ。」
「今日、泊まりに行っていい?」
「はい、どうぞ・・・ってえぇ!!?」

思わず急ブレーキを踏んでしまった。

「な、なんでそうなるんですか!?」

バーナビーは、驚きに目を見張った。
まさか、自分が恋心を寄せている相手に「今日、泊まっていい?」なんて言われるとは思っていなかったのだ。
 ー内心は嬉しい。だが・・・

「嫌に決まってるじゃないですか。だいたい、あなた酒を目一杯飲んでいたでしょう?僕は綺麗好きなんです。吐かれでもしたらどうすr・・・」
 「えぇぇえーーー!?いいじゃん!バニーだってたくさん飲んでたじゃ  ん!?それに、さすがの俺だって吐かないよ!………たぶん。」
「最後のほう、不安要素たっぷりじゃないですか!!大体僕は酒を一滴も飲んでません。つまみとウーロン茶だけです。」
 「うっそだー!!」
「子供ですか、あなたは・・・。だいたい、飲んでたら運転なんてしてません。」
 「でもさぁー・・・つか、泊まりに行ってi・・・」
「無理です。」

ああああぁあぁ!!!いますぐにOKしたいぃぃ!!
バーナビーは心のなかで葛藤を続けていた。
 
ー天邪鬼め!素直にいえたら、即効『いいですよ、来てください。ついでに嫁にも来てください。』ぐらい言うのに!!

延々と続く葛藤の末、結局『あと数回否定してからOKしよう』で落ち着いた。

 「バニバニバニバニー!!泊ーめーろーよーぉ!」
「あぁ、五月蝿いですね!!嫌なものは嫌なんです!」
 「バニィー・・・駄目なのかー??」
「はい、駄目です。なんだったらここから歩いて帰りますか、虎徹さん?」

ーそろそろ頃合かな!!

ノリノリで次の言葉を待っていたバーナビーだったが、ここで誤算がおきた。

 「・・・・じゃーいーや。」
「はい!仕方ないですねぇ♪・・・・ん?」

あれれれ?おかしい、おかしいぞ!何故ここで諦めたんだ虎徹!!

「え、ちょ、虎徹さん?」
 「あーもういいよッ!バニーのバーカ!けち!」

そっぽを向かれた。なんだこれ。泣きたくなって来た。

「あの、虎徹さん・・・?」
無反応。
「おーい・・・。」
無反応。
「こ、こてっつぁーん・・・?」
無反応。ここまできたら無視だ。

ひどい!こっちが不貞腐れたいぐらいなのに、これはない。

「っ・・・」

なんか涙が出て・・いや、これは汗・・・。そんなことを思った瞬間だった。
「あっ!」

突然、隣の座席で不貞腐れていた虎徹が起き上がった。
 「そーだ!バニー、俺いいことを考えついちった!!」

・・・なんだこの人。さっきまでの僕の苦悩は一体・・・?
少しイラッときたが、一応虎徹の言う『いいこと』を聴いてみることにした。

「なんですか、いいことって?」

すると、虎徹はクワガタを見つけた子供のように目を輝かせながら、バーナビーが言えなかった一言をさらりと言って見せた。

「俺んちに来いよ!!」








続かない