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同じ視点の君がいる。

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 静かな部室に、ぱらりぱらりとページを繰る音。
 時折「ふぅん…」「なるほどな…」という呟きが混ざる。
「誰かまだ残ってるのか…って風丸? 何してるんだ?」
「ああ、円堂。借りてるぞ、これ」
 部室を覗いた円堂の問いかけに、風丸は机に置いてた本を上げて表紙を示した。
「……ルールブック?」
「助っ人を買って出た以上、試合までに公式ルールぐらい覚えとかないと。……サッカーってさ、真面目にやるなら結構奥が深いよな」
 再びルールブックに落とされたその視線の真剣さに、円堂の目尻が一瞬だけ泣きそうに下がり、すぐに抑えきれない笑顔へと代わってゆく。
 陸上に真剣な風丸は、円堂が大好きなサッカーにも真摯に向き合ってくれる。
「へへっ。かーぜーまーるっ!」
「うわっ! 重いだろ!」
 それが嬉しくて、小さいころ良くやっていたように背中に抱きつくと、間髪入れずに文句が返ってきた。
「なんだよ、いきなり」
「ね、オレも一緒に見ていい?」
 肩の上から風丸の手元をのぞき込む。
「いいけどさ……こんな基本ルール、お前もう見る必要ないだろ。最初から最後まで暗唱できるほど読んでるくせに」
 言いながら、風丸はぼろぼろになるまで読み込まれた本を示して笑う。
 円堂も笑いながら頬を膨らませて応じた。
「どうせサッカー馬鹿ですよー、オレは。…でもさ、たまには復習しとかないと」
「ん、そっか。……だったら、ほら」
 頷いた風丸が、円堂をのし掛からせたままで傍らの椅子を引く。
 おとなしく椅子へと移った円堂は、見やすいように本の角度を変えてくれた風丸に頭を寄せて、見慣れたルールブックを覗き込んだ。