二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

幼い愛でも愛してる【第1話】

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
いつの間にか抱いた感情は
あなた以外の
他の誰かに与えられるほど
下賎なものじゃなくて
いつもいつも悩まされて想わされて
それでいて叶わないと知っているけど
感情を捨てることが出来ない

こんな私は
まだまだ幼いですか?



「ミク!早くしなさい。置いてくわよ」
ルカ姉が2階にまで、木製のドア越しにも届く声で私を呼ぶ。
あぁ、いつもの服でいいかな?
もう少しお洒落にしなくてもいいかな?
そんなことで悩むこと1時間。でもそういうことにはあまり自信がないからいつも通りの衣装で。

階段を駆け下りるとすぐそばの玄関で桃色の髪の美女が少し呆れたような、それでいて大人っぽい笑みを浮かべていた。
「危ないわよ?あんなスピードで階段下りちゃ」
「えへへ…だってルカ姉待たせちゃ悪いでしょ?」
「そうね。2分と34秒くらい待ったわ」
「ごめん…」
細かい。数えていたのかな?(後でわかったのだが適当だったらしい)意地悪な笑みでルカ姉は言う。それなのに大人っぽいのは何故なの?教えてほしい。

私はルカ姉が大好きだ。
それは普通の女の子同士の好きじゃない。likeじゃなくてloveのほう。つまりその、愛している。どこに惚れたかなんて聞かれたら全部!としかいえないくらい。
でもまあ、一目惚れなんじゃないかな。わかんないけど、多分。7割くらいの確率で。
具体的に言えばサラサラした桃色の長い髪とか。触り心地がよすぎる。スタイルとか。胸とか大きいし、くびれも綺麗に締まっていて。あの強さとか。勝てるものなんか無いくらいの強さ。あの綺麗な声とか。低い声であって、澄んだ声。あの声が耳元で囁かれてみたいっていう願望もある。
一番好きなのはどんな表情でも大人っぽい雰囲気で、意地悪だけど優しいところ。
どれも私には無い。そりゃあ周りの友達とか、リンちゃんとかメイコ姉から可愛いって言われたことくらいあるけど、それでも彼女には遠く及ばない。

買い物は楽しかった。ただでさえ好きだし、何よりルカ姉と一緒だから。こんなことを言ってもあなたには女の子同士としてのこととしてしか伝わらないのだよね。
伝わっても、拒否しちゃうよね。
だからね、私、言わないよ。伝えないよ。
あなたに嫌われちゃうのは、
人類が滅ぶより
世界が滅ぶより
私が死ぬよりも
重大なことだから。
 でも辛い。吐き出したい。こんな感情を吐き出して楽になりたい。誰かが言っていた。伝えないと後悔するって。でも、そんなことが通用しないのが私の恋。
後悔するとかそれ以前に嫌われるかもしれない……そんな不安と恐怖から伝えられない。かといって捨てられない感情。
まだまだ幼いな、なんて自嘲しちゃいたくなる。
 「ミク!」
「わっ…何ルカ姉?」
強い声でルカ姉が私の名前を呼ぶ。どうやらボーっとしていたらしい。いつの間にか目の前にティーカップ。あ、喫茶店に入ったんだ。忘れていた。
「どうしたの?心ここにあらずだったわよ」
「ごめん……ボーっとしちゃって」
笑顔で答えてみた。しかしルカ姉は勘が鋭い。下手な嘘なんて簡単に見破られる。ちなみに作り笑顔も8割くらい見抜く。
「悩みがあったら、相談してね?私でよければいつでも聞くから」
「うん。ありがと」
見抜かれた。ていうか相談なんか出来ないですよ。あなたのことだから。
「で、どんな悩み?」
「え!?」
聞きますかルカ姉。でもどう誤魔化そう。そんなに大事じゃないから……はダメだ。さっきのやり取りでばれている。『じゃあなんでボーっとしていたのかしら?』って言われる。
 よし、と私は決意して言ってみた。
「あの…」
日曜の昼下がり。店内の客の大半が恋人、友人で来ている。そのせいか少しざわついている。
「恋の悩み?」
「あ…うん」
恋愛の悩み。そうです。あなたへの恋心の…は言えない。
「ルカ姉だったら、どうする?絶対に叶わない恋をしたら、その人に告白する?それとも言わないでおくか、諦めるか」
少しくらい驚いて欲しいけど、冷静だからか彼女はそのままの表情から真剣な表情に変わった。それだけでも嬉しかった。友達としての対応でも。
「そうね~。それって片思い?」
「うん」
「私は言えない。だって、嫌われるかもしれないから」
ほら。私の言わないって言う選択は正しいのだ。そう。

家に帰って、ご飯作って、食べて、お風呂に入って。そのあとリビングでボーっとする。ルカ姉は今頃お風呂かな。
「ミク姉」
「なにリンちゃん」
「好きな人いる?」
「……うん」
あっさり言った。自分でも驚くくらいに。
「ふ~ん」
それ以上、リンちゃんは質問してこなかった。だけど気が付いたら私は彼女にまで相談していた。
 どんな恋なので、どうするべきか。そんなことを質問してみた。
「あ~、わかるよ。私もレンが好きだし」
「……………」
爆弾発言。よく似ていますね、私の恋と。違うのは男女かどうかってことくらい。
「ミク姉が好きな人ってルカ姉でしょ」
さっきよりも驚いた。本当に。どうしてばれたのだろう。そんな顔をしていると彼女は口を開いた。
「だってミク姉寝言とかでルカ姉って言いまくっているよ。もぉ、ホントすごい。隣の部屋で本人が寝ているのに。本読んでるのに言いまくり。こっちが恥ずかしいくらい」
私が聞く前に彼女は返答した。
「えぇ~!?言ってよ!リンちゃん」
そんな私を無視して彼女はこう続けた。
「このまえミク姉がソファーで転寝していたときも言ってた」
あぁ、軽く死にたい。
 「ま、ミク姉はルカ姉に負けないくらい綺麗だから。あとね、いい感じの……星の綺麗な夜とかに告ってみるのもいいかも。ミク姉がやるって決めたならの話だけどね」
悪戯に彼女は笑ってリビングを出て行った。
 星の綺麗な夜に告白。
それもいいけど。


どこで?




青緑の髪の可愛い少女
そう思っていたはずが
私にとって貴女は
生まれて初めて
心から愛おしいと思うくらいの
存在になっていた
解りきった結末とはいえ
抗うこともせずにいる

こんな私は
まだまだ幼いわね

メイコさんとカイトは朝の8時にはレコーディングに行った。レンは夜更かししたようでまだ寝ている。代わりにいつもお寝坊さんのリンが起きていた。ちょっと驚いたけど無視してリンに普段からそうして、と呟いていた。

「で、ミク姉は?」
リンが不満げに伝える。ミクは確か、寝ている。彼女も夜更かしでもしたのか。
「寝てるんじゃないかしら?さっき見に行ったら寝てたし」
「ふ~ん」
金髪の少女が私の顔を覗き込んだかと思えば、馬鹿にしたような笑みを浮かべていた。
 「いい加減に気づいてあげなよルカ姉。ミク姉はずっと苦しんでるんだから」
馬鹿にしたような笑みの次は、怒りを押さえ込んだようなそんな冷めた目つきをしていた。
「なんのことよ?」
思い当たる節なんて、どこにも無い。あるとしたらミクが私のことを好きだった場合、と限られるじゃない。夢物語に過ぎないのに期待している自分がいて。笑えちゃうわ。
少女は言葉を続けた。
「ルカ姉がミク姉を好きなのと同じ。ミク姉も好きなんだよ、ルカ姉が」
「………………冗談?それに、どうしてそれを…」
「図星かぁ」