エメラルド色の
少々気にかかる言い方だが、この男はきっとそれで誉めているんだろう。
にこにこと柔らかな微笑みに同調するように赤いピアスがふわりと揺れる。
正直、俺はこいつのスタンドがメロンのようだというイメージを脱することが出来ていない。
間接的に「君の瞳はまるでメロンだ」と言われたように感じて、ものすごく形容し難い気分で口を噤む。
花京院はそんな俺を全く意に介すこと無く、古傷がうっすら残る色白の手を此方に伸ばす。
「すごく、きれい」
うっとりとしたように頬を撫ぜる。
瞼を撫ぜる細い指先。
先程まで絵筆を握っていたその手には様々な色の絵の具が小さく散っているのがぼんやりと見えた。
「抉り出して保存したいくらい」
聞き流せない発言に声を上げる前に「冗談だ」と声を上げて笑う。
こちらとしてはそんなこと冗談じゃねえ。
「てめえが、目が見えなくなったときは、」
「怖かったよ、とても」
だからね、と続く。
「きみに同じ思いをして欲しいんだ。
それとついでに僕が好きなモノも手に入るから、万々歳じゃあないか」
ねえ?と同意を求められても困る。
眉を寄せると直ぐに冗談だよ、と先ほどの言葉を繰り返す。
「ただ、本当になれば……嬉しいなあ」
冗談じあゃねえじゃねえか。
花京院の指が眼球に触れようとした寸前で目を閉じる。
当然ながら、無理矢理抉り出されるなんてことは無く、花京院はただ瞼をゆっくりと撫でながら何度も俺の名を呼んだ。
高価なバッグを遠まわしに強請る女の様な猫撫で声に俺は心底うんざりして、目を閉じたまま溜息と共に諦観の言葉を吐き出した。