二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

夏の夜の夢 B

INDEX|1ページ/1ページ|

 


 ○

  。

 ゜
  .






幾度も見た男の死。
身勝手で、毒々しく。
今まではただ他人であった筈の男。
だから自ら導いてきた数々の死に、いつだって涙は出なかった。彼の生き様が理解できなかったから。――いつもあまりにも満ち足りた顔で去っていくから。



『俺は生きたさ、充分にな。――お前が、生かした』



彼女はしずかな水面に花を放る。ありふれた野の花を集めただけのそれは、手を離した瞬間、風にたやすく散り散りになる。弔いの花。

彼は、女々しい感傷だと吐き捨てるだろう。誰よりも雅やかな暮らしに飽いていた男だ。
しかしそれでいい。彼自身が厭おうと彼ほどに雅であった男を彼女は知らない。

せめてもの手向けだ。せいぜい水底で厭な顔をすればいい。






 ○

  。

 ゜
  .





作品名:夏の夜の夢 B 作家名:だろ